個人事業主・フリーランスで開業の際、税理士事務所との契約・相談について
     

会計コラム

個人事業主・フリーランスで開業の際、税理士事務所との契約・相談について

2021/05/08 税理士をお探しの方へ

 個人事業・フリーランスで開業する場合、最初から税理士事務所と契約や相談を行うほうが良いか否かということで悩まれる方は非常に多いと思います。

税理士事務所との契約は、月額報酬にプラスして確定申告の時期に申告報酬が発生することが一般的です。例えば、月額1万円の税理士報酬とした場合、1万円×12か月+申告報酬で20万円くらいになったりします。
この20万円という税理士報酬が高いか安いかということは別にして、起業して間もない段階で、毎月固定の費用を負担するということには誰しも抵抗があるものと思います。

それでも私の個人的な意見としますと、開業当初もしくは、開業前から税理士事務所に依頼なさることをおすすめ致します。

その主な理由といたしましては、次の3つが挙げられます。
①業務に専念できる
②融資を受けやすい
③節税の幅が広がる

①業務に専念できる

勤めていたときの給与よりもたくさん稼がなくては、起業した意味がありません。もちろん、「自分の好きな仕事をしたい」という思いで、起業された方もいらっしゃるでしょう。しかし先々になんの保証もなくなるため、働けるうちにできるだけたくさん稼いでおくという考え方も必要ではないでしょうか?そのためにはやはり、本業をいち早く軌道に乗せることは大切なことであると思います。ただ、経営者になりますと、何から何まですべてをご自身で行わなければなりません。

たとえば、経理の方や総務の方がいる職場でお勤めであった場合は、事務的な業務を行う機会は少なかったでしょう。ところが起業した場合は、請求書の作成や支払業務はもちろんのこと、役所への手続きや確定申告もすべてをご自身の責任で行うことになります。

いくら大口の契約をとっても請求書を作成しなければ取引先からお金が振り込まれることはありませんし、忙しい月末に銀行の窓口で支払いをしなければならないこともあります。役所への手続きなどについても、誰かが教えてくれるわけでもなく、期限に遅れた場合はすべて自己責任となります。さらには申告手続きが遅れたり、申告しなかったりした場合にはペナルティが発生する可能性もあります。それらを日々の営業活動と並行して行う必要があるため、もう本当に大変です。

このようなことから、起業された多くの方が「営業に専念できれば、もっと稼げるのに」と考えるようになるのです。

②融資を受けやすい

商売をはじめるにあたり、金融機関からの融資は切り離せないものです。

もちろん自己資金ですべてをまかなうことができれば、理想だとは思います。
しかしながら、より多くの事業資金があれば事業の成長のスピードをあげ、効率的に業務を行うことが可能になります。その手助けになるものが融資です。

商売を続けていますと、いろいろなトラブルが発生します。
運悪く手持ち資金が乏しい時に金銭的なトラブルが発生した場合は、融資に頼らなければ業務を続けることができないこともあります。
たとえば飲食店を経営されている場合、真夏に空調が故障したりしますと、すぐにでも修理しないと営業ができない可能性があります。また、建築関係のお仕事でありますと、取引先からの入金が遅れることも珍しくなく、それでもこちらが依頼した業者の方には支払いをしなければなりません。

そうした場合には、速やかに融資を受けるという選択を行うわけですが、日本政策金融公庫をはじめとする金融機関で融資を受ける場合は、通常必要な資料のひとつに「試算表」というものがございます。
この「試算表」は年の途中の段階での成績表のようなものですが、すぐに作成するとなりますと、ご自身ではなかなか難しいものです。

このような場合に税理士事務所が関与していますと、スムーズに「試算表」をはじめとする必要資料を用意することができ、融資手続きを速やかに進めることが可能になります。
また申告書についても、税理士事務所が青色申告で正確に作成したものと、ご自身で作成された白色の申告書では、審査に少なからず影響が出てくると予想されます。

③節税の幅が広がる

節税にはいろいろな方法があり、それぞれの節税の方法をすべての納税者が利用できるわけではございません。また節税には納税者に金銭的な余裕がなければできないものもございます。

たとえば一般的に個人の事業主がよく利用される「小規模企業共済」などは、非常に効果的な節税方法であると思いますが、これは共済である以上、金銭的な支出が発生します。「資金繰りを考えて、節税をしたい」と考えても、結果的に資金繰りを悪化させることにもなりかねません。

一方で、税理士事務所が関与することにより、金銭的な支出を伴わずに税額が減少するという節税方法もございます。

税理士事務所では複式簿記による記帳を行い、65万円の青色申告特別控除を使うことができます。この65万円の青色申告特別控除がどれほどの節税になるかは、それぞれの納税者の所得によって異なるため、一概にはいくらとは言えません。しかし、所得によっては税理士報酬額を超える節税になることも珍しくないため、是非ご利用されることをお勧めします。

ただし、青色申告には事前の届出が必要であることから、その届出が出ていない場合、確定申告の時期にあわてて税理士事務所に依頼しても、青色申告そのものを使うことができません。こういった手続きを確実に行うためにも早い段階で税理士事務所とご契約されるのがよろしいかと思います。

以上、税理士事務所の関与を勧める理由を3つ挙げました。

われわれ税理士は、ご契約していただきました報酬金額が、お客様の大切な利益の中からご負担いただいていることを常に心に留めて業務を行っております。
個人事業主・フリーランスで開業された方、個人事業主・フリーランスで開業をお考えの方はぜひ安心して税理士に皆様の申告をお任せくださいませ。

この記事の監修者

税理士 阿原清史

税理士
阿原清史

神戸すえひろ税理士法人
代表社員

税理士法人番号 第3774号
税理士登録番号 95483

大阪の会計事務所で実務経験を積んだ後、上場を目指すIT関係の企業に入社して、地元神戸で税理士事務所を開業いたしました。
皆様方と一緒に、活気ある神戸を目指して盛り上げていきたいと思います。