雇用保険について
2017/09/20 社労士の雑感
雇用保険といいますと、一般的には失業保険ということでよく知られているかと思います。確かに失業の際に受けることができる基本手当が一番メインの制度なのですが、他にもいろいろな制度がありますので、今回は雇用保険について少し書いてみたいと思います。
雇用保険は、労働者を1人でも雇用する事業は適用事業となります。保険料率は、平成29年度で一般の事業は0.9%、農林水産・清酒製造の事業は1.1%、建設の事業は1.2%となっており、このうち概ね1/3が労働者負担、残りの2/3が事業主負担となります。
事業主負担が労働者負担より多いのは、「雇用保険二事業」の保険料率を事業主のみ負担しているからになります。ここ数年は、世の中が人手不足の傾向で失業率が改善されてきているため、雇用保険料率は下がってきています。
雇用保険は、「失業等給付」と「雇用保険二事業」という2つの制度に分かれます。
「失業等給付」には、俗に失業保険と言われる基本手当や、一定の条件で教育訓練を受けたときに支給される教育訓練給付、一定の条件に当てはまる60歳以上65歳未満の一般被保険者に支給される高年齢雇用継続給付、育児休業期間中に支給される育児休業給付、家族を介護するための休業をした場合に支給される介護休業給付などがあります。主に労働者に対する支援制度ですね。
一方の「雇用保険二事業」は基本的に事業主に対する援助制度になり、①雇用安定事業と②能力開発事業に分かれます。雇用安定事業の主な内容の一つは雇用関係助成金になります。能力開発事業は、労働者の職業訓練などを行う事業主や機関に対する支援事業が中心になります。
雇用保険の中心となる基本手当は、原則的に離職前の2年間に被保険者期間が通算して12か月以上ある方が受給資格を得られます。なお、倒産・解雇等の理由で離職された場合は離職前の1年間に被保険者期間6か月以上でも受給資格を取得できます。
基本手当は、労働者の方が会社を辞められたときに、次の仕事に就くまでの間の重要な生活の糧になるものですので、もしきちんと手続きされてないために被保険者期間が足らず、基本手当が出なかった、なんていうことになると大変です。また、離職の理由の届け出もとても重要で、離職の理由によって基本手当の給付日数や給付の開始時期が変わりますので、これも実態に沿った理由を届け出ないと揉め事の種になります。
社会保険と共に、きっちり手続きは行いましょう!
この記事の監修者
税理士
阿原清史
神戸すえひろ税理士法人
代表社員
税理士法人番号 第3774号
税理士登録番号 95483
大阪の会計事務所で実務経験を積んだ後、上場を目指すIT関係の企業に入社して、地元神戸で税理士事務所を開業いたしました。
皆様方と一緒に、活気ある神戸を目指して盛り上げていきたいと思います。