労働基準法について
2017/10/19 社労士の雑感
近頃、「働き方改革」ということが言われて色々なメディアで報道されています。労働力人口の減少、少子高齢化という問題がいよいよ本格化してきたことへの対策として、多様かつ柔軟な働き方を選択できる社会にすることで、ワークライフバランスを実現しつつ、女性や高齢者の皆様も働きやすい環境を整備し、労働生産性を向上させていこうという取り組みのようです。
「同一労働同一賃金」と共に、この働き方改革の中心的な議題の一つとして、「長時間労働の改善」があります。これは世界で通用する言葉になった「KAROSHI(過労死)」をなくすということにとどまらず、プライベートの時間をきちんと持てるようにすることで、家庭を持って家事や育児・介護などを仕事をしながらでもちゃんとできる形にしつつ、仕事以外で英気を養い幅広い経験を得ることによって、より生産性の高い状態で再び仕事に取り組めるようにしよう、といったもう少し大きなビジョンの話でもあります。
前置きが長くなりましたが、ここで登場するのが「労働基準法」ということになります。労働基準法は、いろいろな労働条件の最低基準を定めた法律で、その中には労働時間に関する原則も書かれており、働き方改革では現在、長時間労働是正のため労働時間の罰則付き上限規制が議論されている、ということです。
1人でも労働者を雇ったら、その事業主さんには労働基準法を守る義務が出てきます。
車に乗る人はみな道路交通法を守らなければならないというのと同様に、労働者を使用する事業主はみな労働基準法を守らなければならない、という感じです。
労働基準法に書かれている主な内容としましては、①労働契約、②労働時間、③休憩、④休日、⑤時間外労働・休日労働、⑥年次有給休暇、⑦賃金、⑧時間外、休日および深夜労働の割増賃金、⑨女性・年少者の保護規定、⑩労働関係の終了、⑪解雇、⑫就業規則・・・などがあり、働くことに関する様々なことの最低基準が記載されています。
また、強制労働の禁止、中間搾取の排除、最低年齢なども定められています。最低基準ということですので、労働基準法が定める基準を下回るような合意をしても法律上当然に無効となり、無効になった部分については労働基準法で定める基準が適用される、ということになります。罰則付きの法律ですので、悪質な場合は刑事罰が科される場合もあります。
近年「ブラック企業」という言葉が流行ったりして、労働者の皆様も働くことに関する情報をしっかり収集し、「いい会社」を見極めようとされている方が増えています。企業の方も、労働基準法や労働契約法など基礎となる法律についてはきちんと理解して労務管理を行うことで、人手不足の時代にも人が集まる会社を築いていくことが可能になると思います。
この記事の監修者
税理士
阿原清史
神戸すえひろ税理士法人
代表社員
税理士法人番号 第3774号
税理士登録番号 95483
大阪の会計事務所で実務経験を積んだ後、上場を目指すIT関係の企業に入社して、地元神戸で税理士事務所を開業いたしました。
皆様方と一緒に、活気ある神戸を目指して盛り上げていきたいと思います。