法定3帳簿について
2017/10/23 社労士の雑感
前回、労働基準法についてのコラムを書きました。労働基準法には様々なことが規定されているのですが、その中の一つに「法定3帳簿」というものがあります。これは下にあげている帳簿で、労働基準法で設置が義務付けられていて、3年間の保存義務のあるものです。
労働者名簿
これは、事業所ごとに働いている労働者の方の基本的な情報を記録しておくもので、以下の内容を記入します。シンプルな書類ですが、履歴書では代用ができないという点はご注意いただく必要があります。
1. 労働者の氏名
2. 生年月日
3. 履歴
4. 性別
5. 住所
6. 従事する業務の種類
7. 雇入れの年月日
8. 退職の年月日及びその事由
9. 死亡の年月日及びその原因
賃金台帳
これは事業所ごとに賃金の計算をする上で必要となる事項と賃金の額などを記載する書類で、賃金の支払いの都度記録するものです。給与明細書での代用はできないという点に注意が必要です。記入内容は次の項目になります。
1. 労働者の氏名
2. 性別
3. 賃金計算期間
4. 労働日数
5. 労働時間数
6. 時間外労働、休日労働、及び深夜労働の各労働時間数
7. 基本給、手当、その他賃金の種類ごとにその額
8. 労使協定による賃金の控除の額
出勤簿
賃金台帳の作成が義務付けられているのに伴って、会社には労働者の労働時間などを把握することが義務付けられています。出勤簿はこれを記録するための帳簿になります。出勤日や始業・終業時刻の他、休憩時間なども記録することになります。
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によりますと、以下のようになっております。
(1)始業・終業時刻の確認及び記録
使用者は、労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。
(2)始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
イ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。
また、規定された方法できちんと行われていれば、「自己申告制」による始業・終業時刻の確認と記録をすることも認められています。
これらの帳簿は、労働基準監督署による臨検監督の場合やハローワークでのお手続きの際に提出を求められることが多く、年金事務所などでも必要となることがあります。
また、雇用関係助成金の申請には原則これらの帳簿及び雇用契約書の提出が求められ、労働基準法をはじめとする諸法令をちゃんと守っているかどうかがチェックされます。
日頃からきちんと整備しておくことが必要です。
この記事の監修者
税理士
阿原清史
神戸すえひろ税理士法人
代表社員
税理士法人番号 第3774号
税理士登録番号 95483
大阪の会計事務所で実務経験を積んだ後、上場を目指すIT関係の企業に入社して、地元神戸で税理士事務所を開業いたしました。
皆様方と一緒に、活気ある神戸を目指して盛り上げていきたいと思います。