税務調査の側面
2018/06/14 税理士の雑感
納税者にとっては良いお話ですが、平成24年を境に税務調査の件数は減少しています。国税庁のホームページによると、平成23年度では12万9千件ほどあった法人税の税務調査は、平成24年度には9万3千件、平成28年度では9万7千件と約3万件も減っています。
税務調査の件数が減った一番の理由は、税務調査に伴う手続きの複雑化にあります。平成24年度から税務署の職員は、税務調査に際しこれまでより沢山の書類を作成しなければならなくなりました。その結果調査1件にかける時間が増え、調査の件数が減少したのです。
その書類のひとつに「争点整理表」というものがあります。この「争点整理表」は税務署内で調査の際に原則作成することとなっており、税務署の内部資料であって納税者や税理士に交付されるものではありません。
今回はこの「争点整理表」を知ることで税務調査の側面をのぞいてみたいと思います。
まず「争点整理表」の「争点」とは、調査において税務署と納税者の間で見解の相違などがある事項や重加算税などの重い処分の可能性がある事項をいいます。簡単に言うと、税務署側の「売上を除外している」という見解に対し、納税者側は「時期のずれはあるが売上は全て計上している」という異なった見解を持っているということです。
これらの事項について、納税者がいつどのような発言をしたのか、証拠となる書類についてなど時系列にそって細かく記録されるようです。調査担当者の見解も記録され、その見解の根拠となる証拠についても記録されます。
この「争点整理表」は調査の過程を記録することで調査の要点を整理するメモ書きとしての役割と、調査結果に対し最終的に訴訟となった場合の対応のためのツールとしての役割がある重要な書類です。
納税者の発言はきっちり記録されるようですので、税務調査では虚偽の発言をすることなく誠実な対応をすることが大事ですね。
この記事の監修者
税理士
阿原清史
神戸すえひろ税理士法人
代表社員
税理士法人番号 第3774号
税理士登録番号 95483
大阪の会計事務所で実務経験を積んだ後、上場を目指すIT関係の企業に入社して、地元神戸で税理士事務所を開業いたしました。
皆様方と一緒に、活気ある神戸を目指して盛り上げていきたいと思います。