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定期預金の相続に必要なことは?手順と必要書類、注意点を紹介
2026/02/26 相続コラム

相続財産の中でも、定期預金は比較的シンプルに見えて実は手続きが多く、重要な判断も必要な財産です。普通預金と違い、解約するか継続するかを相続人が選ばなければならず、書類準備や分割方法を誤るとトラブルにもつながります。
本記事では、定期預金の相続に必要な準備・手順・書類・注意点を体系的に解説します。初めて相続を経験する方でも流れが分かるように、実務の順番に沿って詳しく紹介していきます。
定期預金を相続するための準備
定期預金の相続は、金融機関に行けばすぐ終わるものではありません。まずは財産調査と手続きの前提を整えることが重要です。相続では「誰が」「どの財産を」「どの割合で」受け継ぐかを明確にしなければ手続きが進まないため、最初の準備段階がその後のスムーズさを左右します。ここでは、相続手続きのスタート時に行うべき基本準備を順に解説します。
故人の定期預金の有無を調べる
まず最初に行うべきは、定期預金の存在確認です。通帳や証書、金融機関からの郵便物、ネット銀行のメール通知などを手がかりに調査します。定期預金は満期まで動きがないため、家族が存在を知らないケースも珍しくありません。
もし手掛かりが少ない場合は、取引の可能性がある銀行へ照会を行う方法もあります。戸籍や相続人であることを証明する書類があれば、一定範囲で情報を開示してもらえる場合があります。早い段階で財産全体を把握しておくことで、後から手続きのやり直しになるリスクを防げます。
金融機関に亡くなったことを伝える
定期預金の存在が確認できたら、金融機関に名義人の死亡を届け出ます。届け出が受理されると口座は凍結され、入出金が停止します。これは相続財産を保全するための重要な措置であり、誰かが勝手に引き出してしまう事態を防ぐ役割があります。
口座凍結後は、金融機関から相続手続きの案内が届きます。銀行ごとに書類や手続きの流れが異なるため、この時点で必要書類を確認しておくことが重要です。通帳や証書、届出印などが手元にあると、後の手続きがスムーズに進みます。
遺言に従うor相続財産の分け方を決める
次に確認するのが遺言書の有無です。遺言書があれば、基本的にはその内容に従って定期預金を相続します。遺言執行者が指定されている場合は、その人が中心となって手続きを進めます。
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、定期預金を誰が取得するか決めます。この協議が成立しないと銀行は払戻しに応じないため、相続人間での合意形成は必須です。協議内容は書面化し、全員が署名押印することで正式な証明書になります。
定期預金の相続の方法
定期預金は、相続時に「解約して現金化する」か「名義変更して継続する」かを選ぶ必要があります。どちらが有利かは金利や資産状況、相続人の意向によって変わります。ここでは代表的な2つの方法と、それぞれの特徴を解説します。
定期預金を解約して相続する
もっとも一般的なのが、定期預金を解約して現金として分ける方法です。解約すると元本と利息が払い戻され、相続人の指定口座に振り込まれます。現金化されるため、法定相続分どおりに分配しやすく、トラブルが起きにくい点がメリットです。
また、現在は定期預金の金利が低いことも多く、継続してもメリットが少ない場合があります。資産整理を早く終えたい場合にも解約は有効です。分割のしやすさと手続きの分かりやすさから、多くの家庭で選ばれている方法です。
金利が高い場合は名義変更して継続する
一方、過去に契約した定期預金で金利が高い場合は、名義変更して継続する選択肢もあります。満期まで保持すれば、利息を含めて受け取れる金額が増える可能性があります。特に長期定期や特別金利の商品では、この方法が有利になることもあります。
名義変更後は、相続人の預金として扱われます。すぐに現金化はできませんが、資産運用として活用できる点がメリットです。将来の資金計画を考えたうえで判断するとよいでしょう。
定期預金の相続に必要な書類
定期預金の相続では、多くの書類が必要になります。特に遺言書の有無によって準備する書類が変わるため、事前確認が重要です。ここでは代表的な必要書類をケース別に解説します。
遺言書がない場合:遺産分割協議書などが必要
遺言書がない場合は、遺産分割協議書が必須になります。これは相続人全員で合意した内容を示す重要書類で、全員の署名押印と印鑑証明書が必要です。
そのほかにも、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍、通帳や証書、銀行所定の請求書などが求められます。金融機関によって追加書類が必要になることもあるため、事前確認が不可欠です。書類が不足すると手続きが数週間単位で遅れることもあります。
遺言書がある場合:遺言執行者選任審判書などが必要
遺言書がある場合は、遺言内容に従って手続きを行います。自筆証書遺言であれば家庭裁判所の検認書が必要です。また、遺言執行者が裁判所により選任された場合は、選任審判書を提出します。
さらに、受遺者や執行者の印鑑証明書、通帳や証書、金融機関の所定書類なども求められます。遺言書がある場合は協議不要で進められる反面、形式不備があると手続きが止まるため、書類確認が重要になります。
定期預金を相続したときの注意点
定期預金の相続では、見落とされやすい注意点があります。評価額の考え方や名義預金の扱いなどを知らないまま進めると、税務リスクや再手続きが発生する可能性もあります。ここでは特に重要な3点を解説します。
定期預金の既経過利息は相続財産に含まれる
定期預金は元本だけでなく、相続開始時点までの既経過利息も相続財産に含まれます。つまり、解約していなくても利息分を加算して評価額を計算する必要があります。
この利息は相続税の対象にもなるため、残高証明書と利息計算書を取得しておくと安心です。金額が大きいほど税額に影響するため、評価方法を正しく理解しておくことが重要です。
名義預金は相続財産に含まれる
子どもや孫名義の預金であっても、実質的に故人が管理していた場合は「名義預金」と判断され、相続財産に含まれます。税務調査でも重点的に確認されるポイントです。
通帳を本人が持っていなかった、資金が故人の収入から出ていたなどの場合は名義預金とされる可能性があります。相続税の申告漏れにならないよう、家族名義の預金も含めて確認することが大切です。
相続手続き後に定期預金が見つかった場合は再度手続きを行う
相続手続きが終わった後に、新たな定期預金が見つかるケースもあります。長期定期やネット銀行口座などは特に見落とされやすい財産です。
この場合、再度遺産分割協議を行い、必要なら相続税の修正申告をしなければなりません。最初の段階で財産調査を丁寧に行うことが、後の負担を減らす最大の対策になります。
定期預金の相続は、①財産確認→②口座凍結→③分割方法の決定→④書類提出→⑤解約または継続という流れで進みます。普通預金と似ていますが、解約か継続かの判断や利息の扱いなど、定期預金特有のポイントがあります。
特に重要なのは、相続人全員の合意と書類の正確性です。準備不足のまま進めると、手続きのやり直しや税務トラブルにつながることもあります。この記事を参考に、早めに流れを把握し、必要書類を整えておくことで、定期預金の相続をスムーズに進められるでしょう。
この記事の監修者

税理士
佐野理子
相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。

