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相続税はいくらからかかる?基礎控除・対象となる財産・債務控除など
2023/03/21 相続コラム
目次
2015年の税制改正により、相続税の課税対象者が増えたと言われています。そのため、より多くの人が相続税対策をするようになりつつあります。とはいえ、相続税には早めの対策と準備が必要です。そこでこのコラムでは、相続税の基礎知識や相続税の計算方法などをご紹介します。
法定相続人とは
法定相続人とは、故人の遺産を法律に基づいて相続する権利がある人のことを指します。故人の遺言が存在しない場合や遺言が有効ではない場合に、その遺産を受け取ることができます。法定相続人には、配偶者、子、孫、父母、兄弟姉妹などが該当します。
相続税とは
相続税とは、相続によって得られた遺産に対して課される税金のことです。相続人が遺産を受け取った際に、その遺産の価値に応じて課税されます。ただし、相続税を支払う必要のない非課税枠というものもあります。
相続税の基礎控除
相続税の基礎控除とは、相続人が受け取る遺産に対して、一定額の金額が非課税になる制度のことです。つまり、相続税は課税対象となる遺産額から基礎控除額が差し引かれ、その差額に対して課税されます。もし遺産が基礎控除の範囲内であれば、相続税はかかりません。また、申告も不要となります。
相続税の基礎控除額
相続税の基礎控除額の計算には、以下の式を用います。
相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
法定相続人が1人増えるごとに、基礎控除も600万円増えていきます。例えば、法定相続人が1人であれば基礎控除額は3,600万円、2人であれば4,200万円となります。
相続税の対象となるのは?
相続税の課税対象になるのは、被相続人が死亡した時点で所有していた財産だけではありません。相続税の課税には、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産額や、相続時精算課税制度で生前贈与を受けた財産も含めることが定められているのです。そのため、相続税対策には、なおさら長期的な計画が必要であることがわかるはずです。
また、具体的な課税対象となる財産には、プラスの財産とマイナスの財産の2パターンがあります。
プラスの財産
現金や不動産などの他、「権利」もプラスの財産に含まれます。その他には、以下のようなものが当てはまります。
- 現金や預金などの現物財産
- 土地や建物等の不動産や賃借権などの不動産上の権利
- 株式、投資信託等の有価証券
- 自動車、貴金属、骨董品、家財道具などの動産
- 著作権や特許権などの知的財産権
- 生命保険契約に関する権利
- 火災保険等の解約返戻金請求権
マイナスの財産
マイナスの財産とは、被相続人の債務のことを指します。このマイナスの財産には、債務控除の対象となるものと、ならないものがあります。
債務控除とは
債務控除とは、相続が始まってから相続人が負担した費用の一部を、課税対象から差し引けるものを言います。具体的には以下のようなものがあります。
債務控除されるもの
- 所得税、住民税、固定資産税などの公租公課
- 病院に対する未払医療費
- 金融機関からの借入金
- 水光熱費、電話代などの公共料金等の未払金(被相続人が使用していた期間のみ)
一方で、以下のような債務控除の対象にならないものもあります。
債務控除されないもの
- 団体信用生命保険付きの住宅ローン
- 墓地や仏壇など相続税非課税財産の未払金
特に葬式費用に関しては、控除対象の内容が厳密に定められています。以下で、債務控除が適応される葬式費用と適応されない費用を、事前に確認しておきましょう。
債務控除の対象となる葬式費用
- 火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
- 遺体や遺骨の回送にかかった費用
- 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用
- 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
- 死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用
債務控除の対象とならない葬式費用
- 香典返しのためにかかった費用
- 墓石や墓地の買入れや借りるためにかかった費用
- 初七日や法事などのためにかかった費用
みなし相続財産
被相続人の死亡によって受け取る財産のことを、みなし相続財産と呼びます。例えば、以下のようなものがあります。
- 生命保険金
- 死亡退職金
これらは、故人ではなく受取人の財産になることが決定しているため、遺産分割の対象にはなりません。ですが、税金の計算上は相続財産とみなされます。ただし、一定の条件を満たす場合は、課税対象になることもあります。
相続税の計算方法
税額が分割方法で変わるため、相続税の計算方法は多少複雑になっています。まず、相続税の総額の把握が必要です。それから、それぞれの相続税額を相続人の相続財産に応じて決定する、という流れです。
相続税の計算の流れ
- ①遺産総額の計算
- ②基礎控除の計算
- ③相続税の総額を計算
- ④相続税の総額を取得割合で分ける
- ⑤相続人ごとの税額を計算
税額控除に当てはまる場合など、より細かな計算が想定されます。専門家に相談の上、正しい相続税を確認していきましょう。
税制改正は、多くの人にとって相続税を身近なものにしました。手続きが複雑であったり、長期的な対策が必要であったりと、決して簡単な手続きではありません。ですが、きちんとした下調べや段取り次第で、スムーズに進めることもできるでしょう。ぜひこのコラムを参考にしてみてくださいね。
この記事の監修者
税理士
佐野理子
相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。