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故人の財産調査の進め方|財産の種類・必要な書類・調査方法
2023/04/28 相続コラム
目次
家族や親族など、身近な人が亡くなった場合、財産調査を行うのが一般的です。この財産調査には、特に速やかな進行が必要になりますが、相続人の中には、遺言書が見つけられなかったり、相続についての話し合いが故人と充分できていなかったりという状況も少なくないはずです。そこでこのコラムでは、調査ができる期間が定められている故人の財産調査について幅広くご紹介します。
財産調査とは
財産調査とは、故人が所有する財産や資産、借入金、債務などを調査することを言います。またこの調査は、故人の遺産をどのように分割していくかという、相続人の話し合いのために必要な作業です。
ただ、遺産には預金や土地などのプラスの財産から、債務といったマイナスの財産も存在します。そのためこれらの遺産の範囲を明確にして初めて、遺産分割を行うことが可能になります。財産調査では、漏れのないよう調査を進める必要があるのです。
財産調査の対象となる財産とは
プラスの財産からマイナスの財産まで、遺産は多岐に渡るため、まずは種類を把握しておきましょう。
- 預貯金
- 株式(有価証券)
- 仮想通貨
- ネット証券
- ゴルフ会員権
- 保険積立金
- 持ち家
- 土地(田畑・山含む)
- 借家権・借地権
- 貸金などの金銭債権一般
- 受取人を被相続人本人に指定した生命保険
- 投資信託
- 著作権、工業所有権など
- 貴金属・美術品・骨董品・家財道具
- 車・バイク
- 債務(ローン、借金)
財産の種類だけでもこれだけ多くあるため、計画性を持って調査に取り組む必要があることがわかるはずです。
財産調査で必要となる5つの資料
上に挙げた財産を確認するには、次の資料を用意しましょう。
- 故人の戸籍謄本・除籍謄本(出生から死亡まで)
- 故人の住民票の除票
- 相続人の戸籍謄本
- 相続人の身分証明書(運転免許証、保険証、個人番号カード、年金手帳、パスポート、住民票)
- 相続人の印鑑証明書
生前に財産贈与を行っていないなど、金融機関に預けてある故人の財産の確認が必要な場合は、残高証明書を請求すれば把握することが可能です。
相続による財産調査の時期は?
故人の財産調査は、相続開始から3ヵ月以内に完了できることが理想です。というのも、故人の財産を相続するのか、あるいは相続放棄するのかの決断が、3ヶ月以内と定められているからです。
相続手続きができるこの期間を、熟慮期間と呼びます。この3ヵ月を過ぎてしまうと、相続の放棄ができなくなってしまう場合もあるので注意が必要です。しかし、財産の状況は故人によってさまざまであり、遺言書やエンディングノートで確認できるケースばかりではありません。
預貯金がどの金融機関に預けられているのか、または不動産を所有しているのかどうかなど、すべてを正確に把握するのは、決して簡単なことではありません。
また、相続対象の財産の把握だけでなく、相続人の間で話し合いがスムーズに進まないことも考えられます。
そのような場合は、家庭裁判所に期間の延長を申し立てることが可能です。
財産調査の方法
速やかな手続きが必要でありながら、手間がかかってしまう財産調査。そこで、代表的な財産とその調べ方を、種類ごとにご紹介します。
預貯金
①通帳やキャッシュカードを探す
②インターネットバンクの口座を作っているかどうかを調べる
③それぞれの金融機関に問い合わせ、預金残高の確認
- 預金がない場合:不正引き出しがないかの確認
- 預金がある場合:相続税の対象となるため、税理士に相談し手続きを行う
不動産
①不動産の所在地を確認
- 不動産の売買契約・不動産登記事項証明書・権利証などの書類の有無を調べる
②不動産所有を証明できる書類がない場合
- 相続人とわかる戸籍謄本を不動産がある役所に持参し、故人が所有していた不動産の有無を調査してもらう
- 名寄帳を取得する
- 固定資産評価証明書を取得し、非課税の保有物件の確認
固定資産税の課税・非課税を問わず、所有不動産を一覧で確認できる名寄帳は、故人の不動産の調査には不可欠なものです。
ただ、名寄帳は市町村ごとに作成されます。そのため、不動産を故人がどのあたりに所有していたかを把握していることが前提であることを覚えておきましょう。
不動産に関する書類がない場合は、銀行通帳に固定資産税の引き落とし明細を確認してみるのも重要です。
株・FX
①金融機関や証券会社からの案内を探す
②それぞれの会社に問い合わせ、取引残高を申請する
- 取引が不明な場合:株式会社証券保管振替機構へ開示請求する
マイナスの財産
①返済証明書の確認
②通帳上に借り入れや弁済の履歴がないかを確認
③借入先が分からない場合
- 全国銀行個人信用情報センター、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)に故人の信用情報の開示を請求
まとめ
身近な人が亡くなって間もない時期に、向き合わなくてはならないのが財産調査。心身ともに負荷のかかる作業であるからこそ、相続人の間での協力が不可欠です。
滞りなく調査を行えるよう、ぜひこのコラムを参考にしてみてください。
この記事の監修者
税理士
佐野理子
相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。