【銀行・法務局・税務署】での相続手続きの流れを解説!必要書類もあわせてご紹介
     

相続コラム

【銀行・法務局・税務署】での相続手続きの流れを解説!必要書類もあわせてご紹介

2025/03/25 相続手続

相続の手続きは、大切な人を亡くした悲しみの中で進めなければならない重要な責務です。預貯金、不動産、有価証券など、様々な財産の引継ぎには、銀行や法務局、税務署といった複数の機関での手続きが必要となります。初めて経験する方にとって、その複雑さと専門性の高さに戸惑うことも少なくありません。そこで今回は、主要な三つの機関における相続手続きの流れと必要書類を詳しく解説します。

銀行での相続手続きの流れ

銀行での相続手続きは、故人の預貯金を適切に受け継ぐための重要なプロセスです。手続きを理解し、準備を整えることで、スムーズに進めることができます。

まず、故人の死亡後、銀行や信用金庫などの金融機関に連絡することから始まります。電話や窓口訪問が一般的な連絡方法です。この際、通帳やキャッシュカードを準備しておくと、口座情報の確認がスムーズに行えます。金融機関によっては相続手続きの窓口が特定店舗に限られている場合があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

次に、金融機関から案内される必要書類を準備します。同時に、被相続人の遺産状況を正確に把握するため、各金融機関から残高証明書を取得しましょう。これは約1〜2週間かかることがあるため、余裕を持って請求することが大切です。残高証明書は遺産分割協議の基礎資料となります。
遺産分割協議では、法定相続人全員が参加して預貯金の分配方法を決定します。「1つの口座を1人が相続する方法」と「1つの口座を複数人で分ける方法」が一般的です。協議の内容は遺産分割協議書にまとめ、全員が合意したことを証明します。

協議が完了したら、各金融機関で実際の手続きを行います。遺産分割協議書や遺言書のほか、相続人全員の署名と捺印を含む所定の手続き書類を提出します。必要書類は金融機関ごとに異なるため、事前に確認しておくことが重要です。

書類に不備がなければ、約1〜2週間後に指定口座へ払い戻し金が振り込まれるか、口座名義の変更が行われます。相続の発生から預貯金の受け取りまで、全体で約1〜3ヶ月程度の期間を見込んでおくとよいでしょう。

相続手続きは書類準備など手間がかかりますが、金融機関の指示に従い、計画的に進めることで円滑に完了させることができます。

銀行での相続手続きに必要な書類

預貯金の相続手続きに必要な書類は、ケースによって異なります。ここでは、以下の3つのケースごとの必要書類をご紹介いたします。

遺言書がある場合

遺産分割協議書がある場合

家庭裁判所の調停調書がある場合

法務局での相続手続きの流れ

不動産の相続手続きは、法務局での登記手続きが必要となります。2024年4月1日から相続登記が義務化されたため、不動産を相続したことを知った時から3年以内(遺産分割があった場合は成立日から3年以内)に登記を完了させなければなりません。

まず、被相続人が所有していた不動産を正確に把握することが重要です。一般的には「固定資産納税通知書」を確認するのが基本となります。ただし、公衆用道路など固定資産税が非課税の土地については記載されていないため注意が必要です。より完全な情報を得るには、市区町村の資産税課で「名寄帳」を取り寄せるとよいでしょう。これは、市区町村ごとに被相続人の所有不動産が全て記載された資料です。

また、被相続人が保管していた権利証などの登記資料も重要な手がかりとなります。不動産を特定できたら、法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得して、正確な登記情報を確認しましょう。土地は「地番」、建物は「所在・家屋番号」によって特定されています。

次に、相続不動産の引き継ぎ方法を決定します。被相続人の遺言書がある場合は、その内容に従って不動産を分配します。遺言書がない場合は、相続人全員による「遺産分割協議」を行い、誰が不動産を相続するかを決定します。法定相続分による共有名義も可能ですが、将来的な手続きが煩雑になるため、できれば単独名義にすることをおすすめします。

相続人の確定も重要なステップです。戸籍謄本を用いて法定相続人を特定します。被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を取得し、前婚の子どもなど全ての法定相続人を把握することが必要です。

法務局での相続手続きに必要な書類

不動産の相続手続きに必要な書類は、ケースによって異なります。ここでは、以下の3つのケースごとの必要書類をご紹介いたします。

法定相続の場合

遺産分割協議書がある場合

遺言書がある場合

税務署での相続手続きの流れ

相続税の申告は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。まず確認すべきは申告の必要性です。相続財産の総額が「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」以下であれば、基礎控除内となり申告は不要です。

申告が必要な場合は、次のステップで進めます。 最初に、税務署窓口や国税庁のホームページから申告書の書式を入手します。被相続人が亡くなった年度の書式を使用する点に注意が必要です。

次に、法定相続人を戸籍謄本などで確定させます。配偶者は必ず相続人となり、子どもや親、兄弟姉妹などは相続順位に従います。

続いて、預貯金、不動産、有価証券、保険金、動産などのプラスの財産と、借金やローンなどのマイナスの財産を確認し、相続財産を確定させます。特に不動産の評価は複雑なため、慎重に行う必要があります。

財産総額が基礎控除を超える場合は、申告書に必要事項を記入し、被相続人の住所を管轄する税務署に提出します。相続財産の規模や複雑さによっては、税理士への相談も検討すべきでしょう。

税務署での相続手続きに必要な書類

税務署で相続手続きに必要な書類は主に以下です。

相続手続きは主に、銀行、法務局、税務署という3つの主要な機関で適切に行うことが求められます。それぞれの手続きには独自の流れと必要書類があり、定められた期限内に完了させなければなりません。特に2024年4月から相続登記が義務化されたことで、不動産の相続手続きの重要性はさらに高まっています。

手続きを円滑に進めるためのポイントは、まず相続財産を正確に把握すること、全ての法定相続人を確定させること、そして必要書類を適切に準備することです。特に戸籍謄本や遺産分割協議書など、複数の機関で必要となる書類は、早めに準備しておくとよいでしょう。

この記事の監修者

税理士 佐野理子

税理士
佐野理子

相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。

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