相続した車の名義変更|手続き方法や必要書類、注意点を紹介
     

相続コラム

相続した車の名義変更|手続き方法や必要書類、注意点を紹介

2025/04/24 相続手続

自動車を相続する際、多くの方が名義変更の必要性を認識していても、実際の手続き方法や注意点については意外と知られていないことが多いものです。

相続した自動車の名義変更は単なる形式上の手続きではなく、法的な所有権を明確にし、将来のトラブルを防ぐための重要なプロセスです。本記事では、自動車を相続した際の名義変更手続きの具体的な方法から、見落としがちな自動車保険の変更や自動車税の扱いまで、実務的なポイントを網羅的に解説します。特に、相続人が複数いる場合やローンが残っている場合など、複雑なケースにも対応できるよう、段階ごとに丁寧に説明していきます。

自動車を相続したら、必ず名義変更をする

自動車を相続した場合、必ず名義変更の手続きを行いましょう。車の名義は、所有者が亡くなっても自動的に変更されるわけではありません。名義が故人のままの場合、売却や廃車の手続きができないなど、さまざまな不都合が生じる可能性があります。

相続した自動車に乗り続ける場合でも、売却や廃車を予定している場合でも、名義変更は必須です。これは、他人名義の車を勝手に処分できないためで、法的にも当然の手続きと言えます。名義変更を怠ると、事故が起きた際の保険金請求車検手続きなどで問題が発生する可能性があります。

特に注意すべき点は、名義変更に期限や罰則はないものの、時間が経つほど手続きが複雑になることです。相続から時間が経過すると、必要な書類を取得するのが難しくなる場合があります。また、相続人が複数いる場合は、全員の同意が必要となるため、早めの手続きが望ましいでしょう。

名義変更手続きは、自動車検査証相続を証明する書類などを用意し、運輸支局で行います。面倒に感じるかもしれませんが、後々のトラブルを防ぐためにも、相続が確定したら速やかに手続きを済ませることをおすすめします。

相続した自動車の名義変更をする方法

自動車を相続した場合、必ず名義変更の手続きが必要です。名義変更を怠ると、車検の更新や売却ができなくなるだけでなく、事故時の保険金請求や車両盗難時の対応などで重大なトラブルに発展する可能性があります。また、名義が故人のまま放置しておくと、相続税の申告漏れとみなされるリスクもあります。ここでは、スムーズに名義変更を行うための具体的な手順を、各段階ごとに詳しく解説します。

相続した自動車の名義を確認する

まずは車検証(自動車検査証)で現在の名義人を確認することが第一歩です。車検証は通常、運転席周辺のグローブボックスやドアポケットに保管されています。

注意すべきは、亡くなった方が使用していた車でも、ローンが残っている場合は信販会社やディーラー、自動車販売店の名義になっているケースが多いという点です。名義が金融機関等になっている場合、残債の有無を必ず確認しましょう。ローン残債がある場合、相続人が一括返済するか、新たにローンの審査を受ける必要があります。返済が困難な場合は、車両を金融機関に返還する選択肢もありますが、その場合でも正式な手続きが必要です。

自動車の新しい名義を決める

遺言書があり自動車の相続先が指定されている場合は、その内容に従います。遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が自動車を相続するかを決定する必要があります。特に、自動車の価値が100万円以下の場合は「遺産分割協議成立申込書」という簡易な書式で手続きが可能です。

この場合、自動車を相続する相続人1名の実印だけで手続きできますが、査定書などの価値証明書類の添付が必要です。ただし、後日のトラブルを避けるためにも、他の相続人全員の了承を書面で得ておくことが強く推奨されます。相続人間で意見が分かれる場合は、家庭裁判所の調停を利用する方法もあります。

警察署で車庫証明を申請する

名義変更には車庫証明(自動車保管場所証明書)の取得が必須です。申請は、新しい名義人の住所地を管轄する警察署の交通課で行います。

必要な書類

申請後、警察官による車庫の実地調査があり、問題がなければ通常1週間程度で証明書が発行されます。複数の相続人がいる場合でも、実際に車両を使用する1名の名義で申請すれば問題ありません。車庫証明には有効期限(通常3ヶ月)があるので、運輸支局での手続き時期に注意が必要です。

運輸支局で名義変更の手続きを行う

最後に、必要書類を揃えて最寄りの運輸支局(陸運支局)で名義変更の手続きを行います。

主な必要書類

運輸支局の窓口は平日のみ(通常9:00~16:00)の受付となっており、混雑する月末や年度末は避けるのが無難です。手続きがスムーズに進めば、その日のうちに新しい名義の自動車検査証が交付されます。仕事などで直接出向くのが難しい場合は、行政書士やディーラーに代行を依頼することも可能で、その場合の費用相場は1万~3万円程度です。委任状と追加書類が必要になるので、事前に確認しましょう。

自動車の相続で注意すべきこと

自動車を相続する際には、名義変更だけでなく、関連する様々な手続きや費用について理解しておく必要があります。特に自動車保険の名義変更や自動車税の支払い義務は見落としがちですが、これらの手続きを怠ると重大なトラブルに発展する可能性があります。ここでは、自動車を相続した際に特に注意すべきポイントを詳しく解説します。

自動車保険も名義変更が必要

自動車を相続して乗り続ける場合、自動車保険の名義変更は必須です。自動車保険には法律で加入が義務付けられている自賠責保険と、任意で加入する任意保険の2種類があります。

任意保険については、被保険者が亡くなった時点で契約が消滅するケースがほとんどです。そのため、新たに契約を結び直すか、契約の引継ぎ手続きを行う必要があります。特に注意すべきは、保険の等級引継ぎについてです。配偶者や同居の親族であれば無事故等級を引き継げる場合が多いですが、それ以外の関係の場合は新規契約扱いになることがあります。

自賠責保険については車両に紐付いているため急いで変更する必要はありませんが、事故時の手続きが複雑になる可能性があります。保険会社によっては、相続人であることを証明する書類の提出を求められる場合があるので、名義変更と同時に自賠責保険の名義も変更しておくのが賢明です。

自動車税がかかる

相続した自動車には自動車税(軽自動車税)の支払い義務が発生します。自動車税は毎年4月1日時点の所有者に対して課税され、5月上旬から中旬にかけて納付書が送付されてきます。納付期限はほとんどの地域で5月31日ですが、一部の自治体では6月末までとなっている場合もあるので、届いた納付書を必ず確認しましょう。

相続発生時期によっては、故人と相続人の両方に課税される場合があります。例えば、4月2日以降に相続が発生した場合、その年の自動車税は故人が納税義務者となりますが、翌年分からは相続人が納税義務者となります。また、相続後すぐに廃車にする場合でも、4月1日時点で所有していた場合は年度分全額の税金がかかる点に注意が必要です。

自動車の相続手続きは、名義変更を中心に、自動車保険の変更や自動車税の支払いなど、多岐にわたる作業が必要です。手続きを怠ると、車検の更新ができなくなったり、事故時の保険金請求に支障が出たりするだけでなく、相続税の申告漏れとみなされるリスクもあります。特に、相続人が複数いる場合やローンが残っている場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。面倒に感じるかもしれませんが、後々のトラブルを避けるためにも、相続が確定したら速やかにすべての手続きを完了させましょう。

この記事の監修者

税理士 佐野理子

税理士
佐野理子

相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。

安心価格×高品質 地域最安クラスの料金水準
078-252-8885 078-252-8885
電話受付:平日9時~18時
電話で相談予約する