- 神戸で税理士による相続税の申告手続きHOME
- 相続コラム
- 相続手続
- 相続における各士業の役割は?税理士の専門は?
相続における各士業の役割は?税理士の専門は?
2025/09/24 相続手続

相続が起きると、やらなければならない手続きがたくさんあります。戸籍を集めたり、財産を調べたり、不動産の名義変更をしたり、場合によっては相続税の申告も必要です。
「全部自分でやるのは大変そう…」と思われる方も多いのではないでしょうか。そんなときに頼りになるのが、士業(しぎょう)と呼ばれる専門家たちです。
ただし、弁護士・司法書士・税理士・行政書士など、それぞれに得意分野があり、「誰に何を頼むべきか?」を間違えると二度手間になることも。この記事では、相続で登場する士業の役割を整理しながら、とくに税理士の専門性とメリットについてわかりやすく解説します。
相続で登場する士業とは
相続に関わる専門家は複数います。まずは、それぞれの士業が「何をお願いできるのか」を見ていきましょう。
司法書士
司法書士は、不動産登記のプロです。
土地や建物を相続したら、名義を変更する「相続登記」が必ず必要になります。司法書士はこの登記を代理で申請してくれる唯一の専門家です。
また、家庭裁判所に提出する書類(相続放棄の申立など)を作成できるのも司法書士。相続財産に不動産がある場合は、まず司法書士に相談するのが基本です。
行政書士
行政書士は、さまざまな書類作成をサポートしてくれる専門家です。
遺産分割協議書の作成、戸籍の収集、自動車や有価証券の名義変更などを依頼できます。
ただし、不動産の登記や相続税の申告はできません。相続がシンプルで不動産を含まない場合に、行政書士の力を借りると便利です。
税理士
税理士は、税金の専門家。相続に関しては相続税の申告や節税対策を唯一行える士業です。
財産の評価や相続税の計算、申告書の作成は税理士にしかできません。税務署から調査が入ったときも対応してくれます。
「うちは相続税がかかるのかどうか」を最初に判断できるのも税理士です。
弁護士
弁護士は、相続トラブルの解決役。
相続人同士で意見がまとまらない、遺産分割協議が決裂しそう、遺留分侵害額請求をしたい——そんな場面では弁護士の出番です。裁判や調停になったときも、代理人として動けるのは弁護士だけです。
不動産鑑定士(まれに登場)
土地の評価が難しい場合に活躍します。形がいびつな土地や商業地など、評価額の算定が複雑なケースでは不動産鑑定士に依頼することがあります。
公認会計士(まれに登場)
会社を経営している人の相続では、非上場株式の評価が必要になることがあります。こうしたケースで公認会計士が関わることもあります。
相続税が発生した場合、最初に相談するのは税理士
相続で迷ったとき、まず「誰に相談すればいいのか」で悩む方は多いでしょう。
結論から言うと、相続税が発生する可能性があるなら最初に税理士に相談するのがおすすめです。
その理由はシンプル。
- 相続税がかかるかどうかを判断できるのは税理士だけ
- 申告期限は10か月以内と短い
- 財産の評価や節税対策は専門知識が必須
たとえば、土地や株式の評価によって「相続税がかかる/かからない」が大きく変わることもあります。誤った判断をして申告しなかった場合、後から追徴課税になる可能性も…。そうならないために、最初の相談先として税理士を選ぶのが安心です。
相続税における税理士の役割
税理士の仕事は、大きく「相続が発生する前」と「相続が発生した後」に分かれます。それぞれの場面で、相続人やご家族の負担を軽くし、スムーズに手続きを進めるサポートをしてくれます。
相続発生前のサポート
相続は「事前の準備」がとても大切です。生前から税理士に相談することで、思わぬトラブルや余計な税負担を避けられる可能性が高まります。
相続税シミュレーション
- 現在の財産を一覧にまとめ、もし今相続が発生したらどのくらい相続税がかかるのかを試算します。
- 不動産や株式など評価の難しい資産も含めて、税額の目安を知ることで、家族が将来どのくらいの負担を背負うのか把握できます。
節税対策の提案
- 贈与を活用して少しずつ財産を移す方法や、配偶者控除・小規模宅地等の特例などを視野に入れた財産の分け方を検討します。
- 生命保険を使った納税資金の準備や、資産構成の見直しなど、「将来の負担を軽くする仕組みづくり」を提案してくれます。
納税資金対策
- 相続税は原則、現金一括納付が必要です。「相続財産は土地ばかりで、現金が足りない」というケースも少なくありません。
- 税理士は、売却や融資、延納・物納といった制度の活用も含めて、あらかじめ資金計画を立てるサポートをしてくれます。
こうした準備をしておくことで、実際に相続が起きたときの混乱を大幅に減らせます。
相続発生後のサポート
相続が始まると、「3か月以内に相続放棄」「4か月以内に準確定申告」「10か月以内に相続税申告」と、次々と期限がやってきます。慌ただしい中でこれらを進めるのは大変ですが、税理士がいれば安心です。
相続人調査
- 戸籍を出生から死亡までさかのぼって集め、法定相続人を確定します。
- 兄弟姉妹や再婚相手との間の子どもなど、意外な相続人が見つかることもあり、専門的な確認が欠かせません。
準確定申告
- 被相続人(亡くなった方)の所得税を、相続開始から4か月以内に申告します。
- 会社員や年金受給者でも、医療費控除や不動産収入があれば申告が必要になる場合があります。
財産の調査・評価
- 預金や株式はもちろん、不動産や非上場株式、貸付金、家財道具まで幅広く調査します。
- 特に土地の評価は奥が深く、「道路に面しているか」「形がいびつか」「借地権や貸家があるか」などによって税額が大きく変わります。ここでの判断は税理士の腕の見せどころです。
遺産分割のサポート
- 相続人がどの財産をどのように分けるかを話し合う際、税務面で不利にならないように助言します。
- たとえば「自宅を配偶者が相続したほうが小規模宅地の特例を使える」など、税額が大きく変わるアドバイスが可能です。
相続税申告書の作成と提出
- 最後に、集めた資料や評価をもとに相続税申告書を作成し、期限内に提出します。
- もし税務署から問い合わせや調査があった場合も、税理士が窓口となって対応してくれるので安心です。
こうして見ると、税理士は「生前の備え」から「相続発生後の実務」まで幅広く関わり、専門的な知識で家族を支えてくれる存在だとわかります。
税理士に依頼するメリット
では、税理士に相続税の手続きを依頼するとどんなメリットがあるのでしょうか。
正しい評価で税額を計算できる
土地や株式の評価を誤ると、税額が大きく変わります。専門家に任せれば安心です。
控除や特例を漏れなく使える
小規模宅地の特例や配偶者控除など、税理士なら条件を確認したうえで適切に適用してくれます。
期限内に確実に申告できる
10か月はあっという間。税理士がスケジュールを管理してくれるので安心です。
税務調査にも対応できる
申告後に調査が入っても、税理士が窓口となり対応してくれます。
相続人同士のトラブルを防げる
公平で税務上も有利な分割方法を提案してくれるので、相続人同士の不満が減ります。
相続には、司法書士・行政書士・弁護士・税理士といったさまざまな士業が関わります。それぞれ得意分野が違うので、状況に応じて適切に使い分けることが大切です。
中でも税理士は相続税の専門家。生前からの準備、相続が発生した後の申告、税務調査対応まで、幅広くサポートしてくれます。
「相続税がかかるかわからない」「節税をしたい」「手続きが間に合うか不安」という方は、まず税理士に相談してみましょう。必要に応じて、税理士が司法書士や弁護士など他の士業と連携し、ワンストップで手続きを進められる場合もあります。
相続は一生に何度も経験するものではありません。だからこそ、専門家の力を借りて、スムーズで安心な手続きを進めたいですね。
この記事の監修者

税理士
佐野理子
相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。