相続税の手続きを税理士に依頼すると何ができる?メリットは?
     

相続コラム

相続税の手続きを税理士に依頼すると何ができる?メリットは?

2025/09/24 相続手続

相続税の申告は、被相続人(亡くなった方)の財産を漏れなく洗い出し、法令に沿って評価・計算し、数十枚に及ぶ申告書や明細書を整えて相続開始を知った日の翌日から10か月以内に提出するという、専門性と正確さが求められる手続きです。

親族の調整や葬儀・名義変更などと並行して進める必要があるため、初めての方が独力で完遂するのは容易ではありません。この記事では、税理士に依頼できる業務の中身と、依頼するメリット・デメリット、実際の進め方を、初めての相続でも迷わないよう順を追って解説します。

税理士に依頼できる業務

相続税の申告を税理士に依頼すると、主に「相続財産の評価」「相続税申告書の作成」「相続税対策の相談」といった実務を任せることができます。これらは一見単純に思えるかもしれませんが、専門的な知識や経験が必要で、誤りがあれば大きな損失や追徴課税につながりかねません。ここでは、それぞれの業務の内容を具体的に見ていきましょう。

相続財産の評価

相続税を計算するうえで欠かせないのが「財産をいくらと評価するか」です。土地や建物、預金、株式、美術品など、財産の種類ごとに計算方法が異なり、同じ土地でも場所や形、借家が建っているかどうかで金額が変わることがあります。預金なら相続発生日の残高、株式ならその日の株価が目安になりますし、非上場株式や貴金属などはさらに複雑です。
税理士にお願いすれば、国税庁の基準や最新のルールを踏まえて、すべての財産をきちんと評価してくれます。加えて「小規模宅地の特例」など、使える控除や評価の下げ方も見落とさずに検討してくれるため、税金を払い過ぎてしまう心配を減らすことができます。

相続税の申告書の作成

相続税の申告書は、本表だけでなく財産の明細や債務・葬式費用の内訳、特例の計算書など、添付する資料も含めるとかなりのボリュームになります。1つでも不備があると税務署から問い合わせが来たり、思わぬ追徴課税につながったりすることもあります。
税理士は、必要な書類の集め方からスケジュール管理までサポートし、期限内に間違いのない申告書を完成させます。

相続税対策についての相談

申告のときだけでなく、今後の相続に向けた対策を相談できるのも税理士に依頼する大きなメリットです。たとえば、一度目の相続では配偶者にすべてを相続させると税金は軽くなりますが、その後に起こる二度目の相続で大きな税負担が発生することもあります。税理士は家族構成や資産の内容を踏まえながら、長い目で見て最も負担が少なくなる方法を一緒に考えてくれます。
生前贈与や保険の活用、不動産の整理や遺言の作成など、他の専門家と連携して総合的にアドバイスしてくれる点も心強いところです。

相続税申告を税理士に依頼するメリット

税理士に依頼することには、多くの利点があります。単に「書類を作ってもらえる」だけでなく、税額を適正に抑え、税務調査のリスクを減らし、家族の負担を軽減するという点で大きな価値があります。ここでは代表的なメリットを整理します。

相続税申告を税理士に依頼するデメリット

最大のデメリットは費用です。遺産総額・財産の難易度(非上場株式や土地が多いか等)・申告期限までの残期間・書面添付の有無などにより、報酬は数十万円から高額になる場合があります。また、税理士にも得意・不得意や対応方針の差があるため、専門性と相性の見極めが必要です。報酬は「基本報酬+評価加算+オプション(資料取得代行、現地調査、調査立会い等)」の形で提示されることが多いので、着手前に範囲と追加費用の条件、スケジュール、連絡体制を契約書で明確化しておくことが、不満や齟齬を避ける最良の予防策になります。
もっとも、費用は節税効果・調査回避・時間節約という利点と表裏一体です。最終的には、報酬と期待効果のバランスを比較し、家族の事情や納期との兼ね合いで合理的に判断するとよいでしょう。

税理士に依頼する際の流れ

相続税の申告を税理士にお願いするときは、大まかに「相談 → 面談 → 契約 → 申告 → フォロー」という流れで進みます。堅苦しい手続きばかりを想像しがちですが、実際は会話をしながら一緒に進めていくイメージです。それぞれのステップでどんなことが行われるのかを見てみましょう。

事前相談

まずは電話やメール、ホームページなどから問い合わせをします。サポート内容や費用の目安について軽く確認する場面なので、気軽に質問して大丈夫です。多くの事務所では初回相談を無料で行っているので、いくつかの事務所を比べてみるのもおすすめです。

初回面接

初めての面談では、財産や相続人の状況をヒアリングされます。ここで大事なのは「税理士との相性を確かめること」です。人と人とのやり取りなので、話しやすさや説明のわかりやすさも重要です。費用やサポート内容について不安な点があれば、遠慮なく質問しましょう。報酬の支払い時期などもこの段階で確認しておくと安心です。

契約・サポートの開始

内容や費用に納得できたら契約を結びます。契約書は細かく感じるかもしれませんが、不明点はその場で質問して大丈夫です。契約後は、必要書類を集めたり財産を評価したりと、申告に向けての準備がスタートします。税理士とやり取りをしながら、一歩ずつ進めていくことになります。

相続税申告書の提出

準備が整うと、税理士が申告書を作成してくれます。内容を確認したうえで提出し、納税もあわせて行います。提出は税理士に任せることもできるので、忙しい方でも安心です。

事後のフォロー

申告が終わった後も、追加の手続きが必要になったり、税務署から問い合わせが来たりすることがあります。そんなときも税理士が相談に乗ってくれるので、心強い味方になってくれます。さらに、生前贈与や二次相続に備えた対策について、継続的にアドバイスをもらえることもあります。

相続税の申告は、「正確な評価」と「適正な特例適用」、そして「期限管理」が揃ってはじめて最適解に近づきます。税理士に依頼する意義は、単に書類を作ることではなく、家族にとっての総合最適を事実と法令の根拠で支える点にあります。費用はかかりますが、過大納税や調査リスク、時間的負担の軽減まで含めてトータルで捉えれば、依頼の合理性は高いといえるでしょう。迷ったら、まずは期限を意識しつつ複数の税理士へ早めに相談し、実務経験・説明力・透明な報酬体系・他士業との連携体制という観点で比較することをおすすめします。

この記事の監修者

税理士 佐野理子

税理士
佐野理子

相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。

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