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相続登記を自分で手続きする方法 & メリット・デメリット
2023/11/30 相続手続
目次
故人が所有する遺産を相続すると、遺産相続の手続きを進める必要があります。また遺産の中に不動産がある場合、相続登記という手続きを行います。この相続登記は、自分自身で行うことも可能です。そこで今回は、自分で手続きをする相続登記について、流れやメリット・デメリットについてご紹介します。
相続登記とは
相続登記とは、被相続人が所有していた不動産の名義を相続人の名義へと変更する手続きのことです。不動産の名義は、登記簿(登記記録)に記され、法務局で管理されていますが、所有者が亡くなった場合でも不動産の名義が自動的に変更になるわけではありません。つまり、不動産の相続人になった人が、相続登記の申請をする必要があるのです。また現在は、任意とされている相続登記の申請ですが、令和6年4月1日から相続登記が義務化する法律が施行されます。申請には期限が設けられており、期限内に登記をしなかった場合、過料の支払いが科せられてしまうので注意が必要です。
相続登記の手続きの流れ
自分で相続登記を手続きする場合、以下の流れを参考にするとスムーズに進められるでしょう。
【ステップ1】相続物件を特定する
まずは、相続対象の土地や建物を把握する必要があります。ただし、土地と建物が分けられて登記されている戸建てや、建物と土地が一体化している場合と別々に登記されている場合のどちらもある分譲マンションなど、不動産によっても登記状況が異なります。そのため不動産ごとに登記事項証明書を取り寄せ、正確な情報を確認する必要があります。
【ステップ2】必要書類を準備する
相続登記の申請には、申請書に指定書類を添付して提出する必要があります。代表的な書類は以下のとおりです。
- 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
- 除籍謄本(除籍全部事項証明書)
- 改製原戸籍謄本
- 戸籍の附票の写し
- 住民票の写し(除票)
- 印鑑証明書
- 固定資産評価証明書
【ステップ3】遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する
相続登記申請書には、遺産分割協議書も添付します。この遺産分割協議書とは、被相続人の遺産をどのように分割するかを協議した内容を記載した書類です。またこの際、被相続人のすべての遺産について協議内容をまとめる必要はなく、相続登記の対象となる不動産のみの記載で問題ありません。
【ステップ4】相続登記申請書の作成を作成する
不動産を特定し、必要書類を揃え終わったら、相続登記申請書に着手します。なお、申請書の作成には、細かくルールが決められています。以下の規定に沿って、作成しましょう。
- 申請書の用紙のサイズはA4
- 印字でも手書きでも可。文字は黒。鉛筆は不可
- 登録免許税の収入印紙は、貼り付けた紙を申請書と一緒にホチキス留め
- 収入印紙には、割印や消印はしない
- 申請書、収入印紙を貼った用紙、添付書類をまとめ、左側2カ所をホチキスで留めをして、各用紙の綴り目に割印をする
- 原本還付を希望する場合は、申請書にはコピーを綴じる。(原本はクリアファイルなどにまとめて提出)
【ステップ5】法務局へ申請する
すべてが揃った書類を法務局へ提出します。提出方法は、以下の3つの方法があります。
- 直接法務局の窓口へ持参し、提出する
- 郵送で提出する
- オンライン上で申請データを送信する
ただし、オンラインでの申請には、専用ソフトのインストールや電子証明書の取得などが必要になります。
申請後に必要なこと
申請書を提出後、1週間から10日ほどで登記の手続きが完了します。そのため、提出から10日ほどたったら、法務局に書類を受け取りにいきましょう。受け取る書類は以下のとおりです。
- 登記識別情報通知書
- 登記完了証
- 原本還付書類
なお、書類受領には以下のものが必要なので、忘れずに持参しましょう。
- 登記申請に使用した印鑑
- 身分証明書
相続登記を自分で行う場合のメリット
上記のように、多少手間がかかってでも相続登記を自身で手続きする最大のメリットは、費用を節約できるという点です。相続登記には、主に登録免許税と必要書類を取得する際の手数料、そして専門家への報酬の3種類の費用がかかります。このうち登録免許税と書類の発行手数料は、必ずかかる費用です。一方で、専門家への報酬は、自分自身で相続登記の手続きを行うことで支払う必要がなくなります。専門家へ依頼すると、5~15万円ほどの報酬を支払う必要があるため、自分で登記することで少なくはない費用を節約することができるのです。
相続登記を自分で行う場合のデメリット
お金を節約できる一方で、自分で相続登記を行うことで生じるデメリットもあります。
登記漏れが起こるリスクがある
故人自身も所有していたことを忘れている不動産がある場合、登記漏れに繋がることがあります。また、後日相続登記を行おうとしても、必ずしも他の相続人の理解を得られるとは限りません。このように登記漏れは、相続人間のトラブルにも発展するリスクがあるので、登記手続きは慎重に進める必要があるのです。
手間がかかる
相続する遺産の特定や申請に必要な書類の準備、そして法定相続人同士での遺産分割協議など、相続登記の手続きは決して簡単なものではありません。また、故人が戸籍を遠方に移していたなど、書類の取得に時間がかかってしまうケースもあります。自分で手続きをすると費用を抑えられる一方、ある程度の労力が必要であると言えます。
相続登記の手続きは、自分で取り組むことで、費用を大幅に抑えられます。しかし一方で、遺産の登記状況が複雑であったり、遺産協議が難航していたりと、手続きの難しさは個々のケースに寄ります。そのため遺産の数や登記状況を把握してから、自分で相続登記の手続きをするかどうかを決めるのが無難です。
この記事の監修者
税理士
佐野理子
相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。