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相続税路線価って?計算方法や調べ方を解説
2024/02/13 相続手続
遺産を相続した場合、その財産にどのくらいの相続税が課税されるかを把握する必要があります。ただし、明確な金額がわからない不動産などに課される税金も明らかにしなくてはなりません。この場合に用いられるのが「路線価」です。そこでこのコラムでは、この路線価に関する基礎知識から、路線価が必要になる具体的なケースや路線価の計算方法などをまとめてご紹介します。
路線価とは
路線価とは、不動産の取引や税金の計算の際に、土地の評価額の基準になるものです。土地の評価額には主に2つの計算方法があり、「相続税路線価」を用いる方法が一般的です。この路線価は、土地や建物に面する道路ごとに決まっています。
また路線価には、「固定資産税路線価」もありますが、「相続税路線価」とは別のものを表します。一般的に路線価というときは「相続税路線価」を指します。両者の違いに関しては後述します。
路線価は、土地の価格を算出する際に用いられますが、土地の価格には以下の4種類の公的な基準があります。
- 公示価格
- 基準地価
- 固定資産税評価額
- 相続税評価額
それぞれの特徴を解説していきます。
公示価格
公示価格とは、国土交通省の土地鑑定委員会が定める価格です。この価格は、土地の取引の指標となり、不動産鑑定や公共事業用地の取得価格算定の規準となります。
基準地価
基準地価は、国が定める公示価格とは違い、各都道府県が公表する土地の評価です。日本全国の約2万地点の「基準地」の毎年7月1日の評価が、9月20日頃に公表されています。
固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、文字通り固定資産税の金額を算出するための基準となる評価額です。また、この固定資産税評価額は、「固定資産税路線価」と言われることもあるため、「路線価」と間違えられやすいです。「相続税路線価」のことを指す通称「路線価」とは異なることを知っておきましょう。
相続税評価額
相続税評価額は、相続人が引き継ぐ遺産に課される税金を評価するために用いられる基準となります。ただし、被相続人が遺した財産は、不動産や現金、株式や保険など、種類が多岐に渡るため、相続税評価額の評価方法も財産の種類ごとに異なります。本記事で解説する「路線価」は、複数ある遺産のなかでも土地の相続税評価額の算出に用いられるのです。具体的な計算方法については後述します。
路線価が必要になるケース
路線価が実際に用いられるのは、土地の評価額を計算する必要があるときです。土地の売買価格は、個人や企業が独自に決めた価格になる一方、その土地の税額を算出する場合には、公平な評価が必要です。このように土地の価格のなかでも、相続税や贈与税などの税金の算出の際に用いられるのが「路線価」というわけです。
なお、この路線価は1月1日時点の地価を評価し、毎年7月に公表されます。路線価は毎年変わることから、算出する路線価の年に間違いがないか注意する必要があるのです。たとえば、用いる路線価は、税金を申告する年の路線価ではなく、相続・贈与が発生した年のものです。そのため、3月に相続が発生した場合、その年の路線価が公表される7月まで税金が確定しません。このように、相続が発生したタイミングによって、路線価の公表まで時間がかかるということも覚えておきましょう。
路線価の計算方法
実際に、路線価を用いて土地の評価額を算出する場合、以下のような計算式にあてはめて計算します。
土地の相続税評価額 = 相続税路線価 × 各種補正率 × 土地面積(㎡)
具体的な数字を例として以下のように当てはめてみます。
- 路線価:20万円
- 各種補正率:1.0
- 土地面積:50㎡
この場合、相続税評価額の計算式は以下のようになります。
土地の相続税評価額 = 20万円 × 1.0 × 50 =1035万円
なお、この計算式で必要になる補正率には、複雑な計算が必要です。算出する際は、専門家に相談できるとよいでしょう。
このように上記の計算式を用いて土地の相続税評価額を算出する方法を、「路線価方式」と呼びます。
さらに土地の評価方法には、この路線価方式にくわえ「倍率方式」を用いて算出する方法もあります。ただし、この倍率方式は、路線価が定められていない土地の評価を算出する場合に用いられます。以下が倍率方式の計算式です。
路線価が定められていない土地の相続税評価額 = 固定資産税評価額×倍率
計算に使用する「固定資産税評価額」は、毎年市区町村から送られてくる納税通知書に同封される「固定資産税課税明細書」に記載があります。
路線価の調べ方
土地の評価額に関わるこの「路線価」は、一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」で確認できます。また、相続税路線価だけでなく固定資産税路線価も調べることができます。なお、相続税路線価だけが必要な場合は、国税庁の「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」でも確認が可能です。
道路に面している土地は、状況によってその価値も大きく影響を受けます。このような土地の価値を公平に判断するために「路線価」は用いられるのです。ただし、評価額に用いる補正率の計算は、複雑な作業になるため、専門家への依頼が望ましいといえるでしょう。
この記事の監修者
税理士
佐野理子
相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。