相続税が大幅に改正!生前贈与加算が4年から7年に

2022年12月16日、令和5年度の相続税における暦年贈与の税制改正が発表されました。「相続税と贈与税の一体化」として実施され、大きな改正となっています。そこで、2024年1月1日以降から適用されるこの改正について、具体的な内容をご紹介します。

相続税と贈与税の一体化とは?

まずは、この税制改正が定まった背景にある「相続税と贈与税の一体化」についても確認していきます。

贈与税率が最高55%と高額な日本では、贈与すること自体少ないという現状があります。このことは、高齢者の資産が若年層へと流れていかない状況を生み、ひとつの問題にもなっています。そのために生まれたのが「相続税と贈与税の一体化」です。これは、贈与のタイミングに関係なく、相続税と贈与税を分けずに、財産に同じ金額の税金がかかるようにするものです。

しかしながら、相続税と贈与税はそれぞれ課税される時期や税率が異なります。例えば、生前贈与をして、相続税を減税させるといったことも可能です。このことは事実上、”一本化”とは言えない状況とも言えるでしょう。そこで、生前贈与による過剰な節税を防ぐために、次の制度が設けられています。それぞれ確認していきます。

  • 相続開始前3年以内の生前贈与は相続財産に加算
  • 相続時精算課税制度

相続開始前3年以内の生前贈与は相続財産に加算

現在の税制では、相続や遺贈によって財産を贈与した人が、生前贈与をしてから3年以内に亡くなった場合、贈与を受けた財産も加算して相続税を計算することになっています。これは、相続が開始する直前に、節税を目的とした駆け込み贈与を防ぐためのものとして規定されていたものです。

相続時精算課税制度

この制度は、生前贈与をする時は2500万円まで贈与税を非課税にするが、贈与した人が亡くなった時には、その人の遺産だけでなく、過去に生前贈与した財産にも相続税を課税するというものです。

税制改正の内容

上記のような現行の税制に、大幅な改正や追加規定が制定されたのが、今回発表された税制改正です。改正内容を詳しく確認していきます。

監修者:税理士 佐野理子 (神戸すえひろ税理士法人)

相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、
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目次

2024年1月1日以降の贈与は7年間

現行では、相続財産に加算される生前贈与は、相続開始前3年の期間だったのに対し、2024年1月1日以降の生前贈与から7年に延長されることが決まりました。

実際に、令和5年度税制改正大綱の本文を紹介します。

相続又は遺贈により財産を取得した者が、当該相続の開始前7年以内(現行:3年以内)に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、当該贈与により取得した財産の価額(当該財産のうち当該相続の開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、当該財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算することとする。(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用する。

いくつか具体例を紹介し、改正内容の理解を深めていきます。

2026年8月1日に亡くなった場合

  • 2024年1月1日~2027年8月1日までが加算対象
  • 遡り期間は3年7ヶ月

2031年8月1日に亡くなった場合

  • 2024年8月1日~2031年8月1日までの丸7年が加算対象

相続税の加算は、2024年1月1日以降に行う生前贈与が対象です。そのため、加算される期間は、段階的に期間が延長されていき、2024年1月1日から7年が経過する2031年1月1日に完全に移行していきます。

延長された4年間の贈与は100万円を控除

今回の改正により、控除枠も設けられています。延長された4年間のうちに贈与された総額100万円までは相続財産に加算しなくてもよいというものです。

生前贈与加算延長の対策

相続税の加算延長へ向けた、今から実施可能な対策もご紹介します。できることから、事前に準備を進めておけるとよいでしょう。

2023年までに贈与を行う

相続財産に加算される生前贈与が7年に延長されるのは、2024年1月以降の贈与からです。つまり、2023年12月31日までの贈与は、現行の税制通り、3年間の加算です。2023年中に贈与を行っておくこともひとつの節税対策になるでしょう。

孫への贈与を行う

生前贈与の相続財産加算となるのは、相続人、つまり財産をもらう人が対象です。つまり、相続人ではない孫や子の配偶者への贈与であれば大丈夫です。

名義預金の注意点

贈与を始める段階で、贈与契約書を作成しましょう。また、通帳や印鑑は贈与を受ける側である子どもや孫が管理するなど、贈与の存在を認識していたことを証明できることが前提です。贈与を長期間してても、贈与を受ける本人たちが何も知らない場合、贈与とみなされず相続財産となってしまうので、気をつけましょう。

今回は、2024年1月1日以降から適用される贈与税の改正についてご紹介しました。今からでも対策が可能なこともあるため、新しい税制に向けて贈与計画を考えてみることをおすすめします。

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