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駐車場を相続したら相続税はどのくらいかかる?評価額の求め方・活用できる特例など
2024/05/29 相続コラム
目次
駐車場を相続した場合、駐車場は不動産の一種とみなされるため、相続税の対象となります。
また、不動産の相続税の計算では、その評価額が重要になります。
ここでは、駐車場の相続税の評価額の求め方、評価額が減額されるケース、そして節税対策について説明します。
駐車場の相続税の評価額の求め方
駐車場の相続税の評価額は、原則として路線価方式で計算します。
路線価方式とは、国税庁が毎年発表する路線価をもとに、不動産の評価額を求める方法です。
路線価は、道路に面した標準的な地点の1平方メートル当たりの土地の価額を表しています。
駐車場の路線価方式で評価額を求める手順は以下の通りです。
①路線価を確認する
国税庁のWebサイトで、相続した駐車場の所在地の路線価を確認します。
②駐車場の面積を測定する
駐車場の面積を測定します。登記簿謄本や測量図などを参考にします。
③路線価に面積を乗じる
路線価に駐車場の面積を乗じて、評価額を求めます。
ただし、路線価方式で計算した評価額が実際の取引価格と大きく異なる場合は、実際の取引価格を評価額とする場合もあります。
駐車場の評価額が減額される「小規模宅地等の特例」
駐車場を相続した際、一定の要件を満たすことで、相続税が控除される小規模宅地等の特例を利用できるケースがあります。
小規模宅地等の特例とは
小規模宅地等の特例は、相続税や贈与税の計算をする際に、一定の要件を満たす宅地等について、その評価額を最大で80%減額することができる制度です。
この特例の目的は、相続や贈与によって取得した宅地等を、相続人等が引き続き居住や事業の用に供することを支援することにあります。
この特例を活用できる駐車場は、主に4つのパターンです。(土地所有者自身が駐車場を経営しているものとします。)以下で詳しく解説します。
アスファルトの駐車場
土地に何も施されていないいわゆる「青空駐車場」の場合、小規模宅地等の特例を活用することはできませんが、土地が舗装されているなどしてアスファルト舗装が構築物とみなされることで、特例を利用することができます。
またこの場合、アスファルトの駐車場(コンクリートでも可能)は、「貸付事業用宅地等」となるため、評価額は50%減額されます。
ただし、この特例を利用できるのは、駐車場の面積が200㎡までとされています。
一部分がアスファルトの駐車場
中には、アスファルトの舗装が駐車場全体ではなく、一部分のみという場合もあるでしょう。
この場合、特例が適用される内容が変わるため、注意が必要です。
「貸付事業用宅地等」として扱われること自体は、先述の全体がアスファルトなどで舗装されている駐車場の場合と変わりませんが、対象となるのは駐車場の舗装されている部分のみです。
つまり、駐車場内の舗装が施されている部分の面積200㎡までの土地の評価額が50%減額されるというわけです。
砂利の駐車場
砂利が敷かれた駐車場も、アスファルトと同じように舗装された構築物としてみなされます。そのため、小規模宅地等の特例を利用することができます。
なお、駐車場の砂利は、地面の土地がしっかり隠れるくらい敷き詰められていなければなりません。
そのため、砂利の状態を含め、駐車場のメンテナンスは、定期的に行っておけると安心です。
コインパーキングの駐車場
コインパーキング式の駐車場の場合、駐車場に設置する精算機やフラップなどは、業者の所有物となります。
しかしこのようなコインパーキングのタイプの駐車場でも、小規模宅地等の特例の対象です。駐車場面積200㎡までの土地の評価額を50%減額することができます。
駐車場の評価額の減額対策
駐車場の評価額の減額には、先ほど紹介した小規模宅地等の特例が効果的な方法です。
ここでは、小規模宅地等の特例以外に、駐車場の評価額を減額できる対策をご紹介します。
賃貸住宅を建築する
駐車場の敷地に賃貸住宅などを建築し、第三者に貸し付けることで、相続税評価額を減らすことができます。
このコラムでは、駐車場を相続する際の相続税の評価額の求め方や、小規模宅地等の特例による節税対策について解説しました。
駐車場の相続税評価額は、原則として路線価方式で計算しますが、実際の取引価格と大きく異なる場合は、実際の取引価格を評価額とすることもあります。
また、小規模宅地等の特例を活用することで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。
ただし、特例の適用条件は駐車場の種類や相続する人の状況・事業継続の状況によって異なるため、自分の相続した駐車場がどのパターンに当てはまるのかを確認することが重要です。
さらに、賃貸住宅の建築なども、駐車場を相続する場合の相続税の節税対策として有効です。
駐車場を相続した場合の評価額の計算方法は、ケースによって大きく異なります。
適切な節税対策を行うためにも、専門家に相談しながら、自分の状況に合った方法を選ぶことをおすすめします。
この記事の監修者
税理士
佐野理子
相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。