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相続手続きの期限は?取り組むべきタイミングがわかる期限付き手続き
2023/03/28 相続コラム
目次
祖父母や親など、親族が亡くなった場合、相続の手続きを行う必要があります。ですが、ほとんどの人が、相続手続きに慣れていないはずです。加えて、その中には期限があるものも含まれています。このように、相続手続きはいくつもの作業を計画性を持って進める必要があるのです。そこでこのコラムでは、相続手続きについて取り組みやすいように期限ごとにご紹介していきます。
相続とは
そもそも相続とは、故人が遺した財産と全ての権利義務を引き継ぐことを指します。これらを引き継ぐことができる人を相続人と呼びます。主に配偶者や子どもなど親類縁者であることがほとんどです。また、その人が亡くなった日は、相続が開始される日となります。実際に相続される財産は、現金、不動産、有価証券、預貯金、自動車などの相続人にとってプラスになるものだけでなく、借金や負債といったマイナスの財産も引き継がれることになります。しかしながら、相続の対象とならないケースもあるため、自分が相続人に該当するのか、手続きの際には確認が必要です。
期限がある相続手続き
手続きの期限は、「相続の開始があったことを知った日」が基準となります。この日から一定の期間に手続きを要するものは、以下の通りです。
- 相続放棄
- 限定承認
- 準確定申告
- 相続税の申告・納付
- 遺留分侵害額請求
- 死亡保険金の請求
- 相続登記
期限が3ヵ月以内の手続き:相続放棄、限定承認
相続する方法は3つあります。相続人は、単純承認、相続放棄、限定承認からひとつ選択します。ただし、単純承認の場合は、手続きは不要です。しかし、相続放棄と限定承認の場合は、3ヵ月以内の手続きが必要です。手続きを行わない場合は、単純承認を選択したとみなされてしまうので注意しましょう。
相続放棄
相続放棄とは、被相続人の遺産や責務をすべて放棄することです。相続放棄すると、財産や不動産などのプラスの財産に限らず、マイナスの財産も含め、すべて放棄します。そのため、マイナスの財産が多い場合に選択する傾向があります。この相続放棄は、相続の開始があったことを知った日の翌日から3ヵ月以内に、家庭裁判所に申し立てをすることが必要です。
限定承認
被相続人がどのくらいの債務を負っていたのか、わからないケースもあるでしょう。その場合、相続人が相続したブラスの財産の範囲内で、マイナスの債務を引き継ぐことができるのが限定承認です。相続放棄同様、相続の開始があったことを知った日の翌日から3ヵ月以内に、家庭裁判所に申し立てをすることが必要です。
期限が4ヵ月以内の手続き:準確定申告
準確定申告とは、被相続人の亡くなった年の所得税の確定申告を、相続人などが被相続人の代わりに行うことを指します。ただし、被相続人に確定申告が不要であれば、準確定申告の手続きも必要ありません。そのため、被相続人に確定申告が必要かどうかは、知っておかなければならない項目です。準確定申告をする場合は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に税務署への申告が必要です。具体的には、以下のようなケースが当てはまります。
準確定申告すべき人の例
- 被相続人が自営業者
- 被相続人が2か所以上から給与を得ていた
- 被相続人の給与額が2000万円以上あった
- 被相続人が400万円以上の年金受給があった
- 被相続人が確定申告によって還付金を受ける
期限が10ヵ月以内の手続き:相続税の申告・納付
被相続人から相続した財産が一定額を超える場合、相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内に相続税の申告・納税が必要です。期限内に手続きを行わなかった場合、延滞税が課税されたり、税金の軽減制度が利用できなかったりなどのデメリットがある手続きです。速やかに手続きを済ませられると良いでしょう。
期限が1年以内の手続き:遺留分侵害額請求
遺留分は、直系卑属と直系尊属に該当する相続人の、最低限相続できる権利と割合を定めたものを指します。また、兄弟姉妹や甥姪には認められてはいないものです。この遺留分侵害額請求の期限は、相続の開始および遺留分侵害を知ってから1年以内とされています。遺留分の侵害について知らなかったとしても、相続開始から10年が過ぎてしまうと請求ができなくなってしまうので気をつけましょう。
期限が3年以内の手続き:死亡保険金の請求、相続登記
被保険者が加入していた生命保険会社に、死亡保険金の請求を行います。この保険金を請求できるのは、ほとんどの保険会社が3年と定めています。ただし、場合によっては例外もあるため、保険会社への確認がj必要です。
相続登記とは、所有者不明土地問題を防ぐために、新たに義務化された手続きです。相続登記の申請には、3年間の猶予期間が設けられています。ただし、不動産の相続を把握していながら、正当な理由もなく相続登記をしなかった場合は、過料が課される可能性もあります。早めの対応を心がけましょう。
期限が5年10ヵ月以内の手続き:相続税の還付請求
相続税の還付とは、相続税を多く支払ってしまった場合に税金が返金されるものです。この還付を受けるには、相続の開始があったことを知った日の翌日から原則5年10ヵ月以内の手続きが必要です。
今回は、相続手続きの際に、期限が設けられているものを中心にご紹介しました。中には、相続登記など、比較的新しい決まり事もあります。漏れなく相続手続きに取り組めるよう、ぜひこのコラムを参考にしてみてくださいね。
この記事の監修者
税理士
佐野理子
相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。