金地金(インゴット・ゴールドバー)も相続税の課税対象?種類や計算方法、申告が必要な理由をご紹介
     

相続コラム

金地金(インゴット・ゴールドバー)も相続税の課税対象?種類や計算方法、申告が必要な理由をご紹介

2025/01/29 相続手続

金は、相続税の課税対象ということをご存じでしょうか?この記事では、実際に課税される金の種類についてご紹介しながら、金の相続税の計算方法や申告すべき理由について解説していきます。家族や親族が金を所有している場合は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

金は相続税の課税対象

金やプラチナなどの貴金属は、相続税の課税対象となります。これは相続税が「被相続人の所有していた全ての財産に課せられる税金」という基本原則に基づいています。 相続税の課税対象には、金銭に換算できる全ての財産が含まれます。具体的には、不動産、有価証券、著作権などの財産権に加え、貴金属類も評価額に基づいて課税対象となります。 また、「みなし相続財産」と呼ばれる特殊な課税対象もあります。これには生命保険金や損害保険金などが該当し、被相続人の生前の所有財産でなくても、相続により取得した場合は課税対象となります。 さらに、相続開始前3年以内の贈与財産や相続時精算課税制度を利用した贈与財産も、相続財産に加算されます。なお、令和6年1月1日以降は、この加算期間が7年に延長されることが決定しています。

相続税の課税対象となる金の種類

ここでは、課税対象となる代表的な金の種類を5つご紹介いたします。

金地金(インゴット・ゴールドバー)

金地金(インゴット)は、精製された金属を鋳型に流して形作られた金属の塊です。英語では「ingot」と呼ばれ、その細長い形状から「bar」(バー)とも呼ばれます。特に金の場合は「ゴールドバー」と表現されます。 なお、インゴットは金に限らず、銀、プラチナ、パラジウムなどの貴金属でも製造されます。これらの金属塊も同様に相続税の課税対象となり、相続時の市場価格で評価されます。

金貨

金貨も相続税の課税対象となる金の現物資産の一つです。国内で発行される記念金貨はもちろん、外国政府が発行する投資用金貨も課税対象となります。 代表的な金貨には、カナダ政府が品質を保証するメイプルリーフ金貨や、オーストリア造幣局発行のウィーン金貨があります。これらの金貨は、その金としての価値に基づいて相続財産として評価され、相続税が課されます。 評価額は相続開始時における金貨の時価(市場価格)で計算され、金の純度や重量が考慮されます。

純金積立

純金積立は、定期的に金を購入・積立する投資商品で、相続税の課税対象となります。金販売業者や証券会社が提供するこのサービスでは、定額積立(毎月一定金額)または定量積立(毎月一定重量)の方式で金を購入できます。 積立時に現物の金地金は手元に届かず、口座残高として管理されます。購入者は任意のタイミングで積立額を現金や金地金として引き出すことができます。 相続が発生した場合、純金積立口座の残高は相続財産として評価され、相続開始時の時価に基づいて課税されます。なお、取引にかかる手数料や保管料は各取扱会社によって異なります。

装飾品(ジュエリー)・美術品

金製の装飾品や美術品も相続税の課税対象となります。具体的には、指輪、ネックレス、ブレスレットなどのアクセサリーや、金を使用した時計、美術的な価値のあるオブジェなどが該当します。 これらの資産は、市場価値の変動が大きく、外見だけでは正確な価値を判断することが難しい特徴があります。特に美術品は、時間の経過とともに価値が上昇する可能性があり、相続税額に大きな影響を与える可能性があります。 そのため、相続に備えて専門家による適切な評価を受け、資産価値を正確に把握しておくことが重要です。

仏壇・仏具・祭具は非課税

日常の礼拝に使用する仏壇、仏具、祭具は相続税の非課税対象となります。ただし、この非課税措置には重要な条件があります。 第一に、これらの物品が実際に日常的な礼拝に使用されていることが必要です。純金製の仏像や仏具であっても、投資目的や相続税対策として購入し、実際の礼拝に使用していない場合は課税対象となります。 第二に、社会通念上適正な金額の範囲内であることが求められます。過度に華美な純金製品や、被相続人の死亡直前に購入したものは、課税対象となる可能性が高くなります。 また、これらの物品にローンが残っている場合、その債務は相続税の債務控除の対象外となりますので注意が必要です。

相続税の課税対象となる遺産総額の算出方法

相続税の課税対象となる遺産総額は、相続財産の合計額から葬儀費用、借入金、死亡保険金の非課税分などを差し引いて計算します。この遺産総額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いた金額が課税対象となります。 例えば、法定相続人が配偶者と子供2人の場合、基礎控除額は4,800万円(3,000万円+600万円×3人)となります。課税遺産総額が1億円の場合、法定相続分は配偶者が2分の1(5,000万円)、子供2人がそれぞれ4分の1(2,500万円)となります。 相続税率は課税価格によって異なり、5,000万円では20%、2,500万円では15%が適用されます。各控除を適用すると、配偶者の相続税は800万円(5,000万円×0.2-200万円)、子供1人あたり325万円(2,500万円×0.15-50万円)となり、家族全体では1,450万円の相続税額となります。

金の相続財産を隠さずに申告すべき3つの理由

金の相続を申告せず自宅金庫に隠匿しても、税務署での調査により発覚する可能性が高いです。発覚した場合、本来の相続税に加えて延滞税や加算税というペナルティが課されてしまうリスクがあります。そこでここでは、適正な申告を行うべき理由についてご紹介いたします。

税務署は被相続人・相続人の入出金履歴を確認できる

税務署は被相続人と相続人の金融取引を詳細に調査します。特に、200万円を超える金の売買については、取引業者から支払調書が提出されるため、取引履歴が把握されています。 また、金融機関の入出金履歴も調査対象となり、多額の現金引き出しや取引があれば、金の購入履歴として特定されます。このため、相続財産としての金を隠匿することは極めて困難です。発覚した場合は最大40%の重加算税が課されるリスクがあります。

金地金にはシリアルナンバーが付いている

金地金には、品質保証と盗難防止のためにシリアルナンバーが刻印されています。このナンバーには、ブランド名、重量とともに、購入者の情報が紐づけられており、データとして保管されています。 そのため、税務署が照会すると保有状況が即座に判明します。たとえ相続人名義で購入していた場合でも、預金の入出金履歴と照合することで、相続財産としての金地金の存在が明らかになります。 相続税の基本原則「被相続人の所有していた全ての財産に課せられる税金」に基づき、金も課税対象となります。今回ご紹介した種類の金をお持ちの方は、ぜひ今後発生する可能性のある相続に備えて、このコラムを参考にしてみてください。なお、正確に相続税を申告しない場合、税務署での調査により金は、隠匿が発覚するリスクが高いと言えます。金の相続税は、隠さずに申告することが大切です。

この記事の監修者

税理士 佐野理子

税理士
佐野理子

相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。

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