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マンションの相続評価額に新ルールが追加|計算方法・節税ポイントを解説
2024/02/07 相続手続
目次
被相続人が遺した遺産にマンションが含まれている場合、どのような手続きが必要なのでしょうか?今回は、2024年1月から適用された新たなルールも含めたマンションの相続税について、主に以下の4つのポイントからご紹介します。
- マンションの相続税の評価額
- マンションの相続税の計算方法
- マンションの相続税を節税するためのポイント
- マンションの相続手続きの流れ
今後、マンションの相続が発生する予定のある方は、ぜひこのコラムで解説する新ルールを理解し、相続が発生するまでの準備を進めてみてください。
マンション1室における相続税の評価額
2024年1月以降、マンション1室を相続、贈与あるいは遺贈などで引き継いだ場合、評価基準に新しいルールが定められました。そのルールにより、マンション1室の建物部分と土地部分を評価し、評価水準が時価の6割に満たないとき、以下の計算で評価額を求めなければなりません。
相続税評価額×マンション1室の評価乖離率 × 評価水準0.6
このルールの対象は区分所有マンションですが、建物部分の固定資産税評価額が時価より低くなる傾向にある高層階のマンションの評価ほど影響を受ける仕組みになっています。
マンションの相続税の計算方法
次に、実際にマンションの相続税評価額の算出方法をご紹介します。マンションには、建物部分と土地(敷地)部分にかかる相続税は分けて計算する必要があります。計算方法も異なるのでそれぞれ確認していきましょう。
マンションの建物部分にかかる相続税評価額の計算方法
マンションの建物部分の相続税評価額は、「固定資産税評価額」と同額です。そのため、建物部分の相続税評価額を知りたい際は、固定資産税評価額を調べることで解決します。この固定資産税評価額は、毎年市区町村から送付される「固定資産税の課税明細書」で確認することができます。
マンションの土地(敷地)部分にかかる相続税評価額の計算方法
マンションの土地(敷地)部分の相続税評価額は、次のように計算します。
マンションの敷地全体の評価額 × 区分所有する建物分の敷地権の割合
上記の計算に必要な「マンションの敷地全体の評価額」は、下記のように計算します。
補正後の路線価 × マンションの敷地全体の面積(㎡)
また、計算に必要な敷地権の割合は、法務局の登記事項証明書で確認することが可能です。
マンションが賃貸物件の場合の計算方法
上記の計算方法は、マンションが所有物件である場合にのみ使用します。賃貸物件のマンションを引き継ぐ場合は、異なる計算が必要になります。ただし、この場合の計算方法は複雑になるため、専門家への相談が必須です。
マンションの相続税を節税するためのポイント
マンション1室の相続税の評価額に対し、新たなルールが設けられるなど、相続税の節税対策がしづらいケースが発生しています。そこでここでは、このような状況でも有効な以下の特例や控除についてご紹介します。
小規模宅地等の特例
特定の要件を満たすことで、「小規模宅地等の特例」を活用することができ、マンションの土地部分の相続税評価額の減額が可能になります。なお、この特例は持ち家物件のみならず賃貸物件のマンションにも適用されます。ただし、この特例を使用する場合も、相続税の申告は必須です。申告漏れにならないよう気をつけましょう。
相続税の配偶者控除
配偶者控除とは、被相続人の配偶者が財産を相続しても、1億6000万円まで(あるいは配偶者の法定相続分以下)相続税がかからない制度です。また、小規模宅地等の特例と同様、配偶者控除も活用の場合は、相続税の申告が必要です。配偶者控除が適用されるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 戸籍上の配偶者であること
- 遺産の隠蔽をしていないこと
- 相続税申告を期限内に行うこと
この控除を用いることで、相続税の金額を大幅に減額することが可能です。きちんと適用されるためにも、期限内に相続税を申告しましょう。
マンションの相続手続きの流れ
マンションなどの不動産相続には、評価額の計算や控除・特約の活用の準備のほかに、手続きの計画を練ることも重要です。相続人が複数いたり、相続財産が多岐に渡り、特定・計算に時間がかかったりと、相続の作業は、手間のかかるものです。そのため、やみくもにとりかかるのではなく、作業効率や優先順位を考慮して進めるのが望ましいでしょう。以下の順番で作業していくとスムーズです。
①遺言書の有無を確認する
②相続人と相続財産を確定させる
③遺産分割協議を実施する
④相続登記をする
⑤相続税の申告と納付をする
相続税の申告・納付に向け、作業を進めていくなかで、遺産分割協議ですんなり話がまとまらず、協議が長期化してしまうケースも少なくありません。そのような状況も考慮した上で、計画的に進めていけるとよいでしょう。
2024年1月から制定されたマンション1室の評価額における新ルールなどを考慮すると、相続の準備は、入念に計画的にすすめることが重要です。なお、相続税の納付期限は、相続発生を知った日の翌日から10カ月以内です。ぜひこのコラムを参考に、後悔のない相続手続きの計画を練ってみてください。
この記事の監修者
税理士
佐野理子
相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。