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相続放棄とは|放棄すべき事例や手続きの流れ、注意点を紹介
2024/04/22 相続コラム
目次
相続は、被相続人の死亡により、その財産を承継する制度です。
しかし、被相続人の財産よりも債務の方が多い場合、相続人は相続放棄を選択することができます。
本記事では、相続放棄とはどのようなものか、どのような場合に相続放棄したほうがいいのか、相続放棄の手続きの流れや注意点について詳しく解説します。
相続放棄とは
相続放棄とは、相続人が被相続人の財産と債務の承継をすべて拒否することです。
相続放棄を行うと、相続人は被相続人の財産を一切受け取ることができなくなりますが、同時に債務の返済義務もなくなります。
相続放棄は、被相続人の死亡を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述することで効力が発生します。
また相続放棄は、相続人全員が行う必要はありません。一部の相続人のみが相続放棄を選択することもできます。ただし、相続放棄を行った相続人は、その後、相続を取り消すことはできません。
一度相続放棄をすると、その決定は最終的なものとなります。
相続放棄したほうがいいケース
相続が発生した際、状況によっては相続放棄をしたほうがよいこともあります。ここでは、相続放棄を検討するべき代表的なケースをご紹介します。
被相続人の債務が財産よりも多い場合
相続を行う場合、プラスの財産である財産と、マイナスの財産である債務のどちらも引き継ぐ必要があります。
しかし、財産と債務を比較した際、債務が多くなると相続することで相続人に少なくない損害が発生するリスクもあります。
被相続人が多額の債務を遺している場合は、相続放棄を積極的に検討するのがよいと言えるでしょう。
被相続人の財産状況が不明な場合
被相続人の財産状況が不明な場合、予期せぬ債務が発覚するリスクがあります。
このような場合、相続放棄をしておくことで、将来的なトラブルを回避できます。
共同相続人との関係が悪い場合
共同相続人との関係が悪く、財産分割について合意できないというケースが生じることもあります。
その場合、相続放棄を選択することで、争いを避けることができます。
相続税の負担が大きい場合
相続する財産の価値が高く、相続税の負担が大きくなることも少なくありません。
その場合、相続放棄を選択することで、相続税の支払いを免れることができます。ただし、財産を放棄しなければなりません。
相続放棄の手続きの流れ
実際に相続を放棄する場合に備えて、手続きの流れも理解しておきましょう。具体的な流れは以下の通りです。
①財産調査をおこなう
②相続放棄の必要書類を集める
③相続放棄にかかる費用を用意する
④相続放棄申述書を作成する
⑤相続放棄の申述をおこなう
⑥相続放棄の証明書を発行してもらう
相続人は、被相続人の死亡を知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。そのため、上記の流れの申述書の作成までの作業を速やかに進めなければならないのです。
そして家庭裁判所で申述書が受理され次第、相続放棄の証明書を発行してもらいましょう。
なおこの手続き自体は、相続人自身で行うことができます。ただし、手続きに不安がある場合は、弁護士や司法書士に相談するのも良いでしょう。
相続放棄の必要書類
- 申述書
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 印鑑証明書
- 申述者の本人確認書類
相続放棄の注意点
相続放棄を行う際に、いくつか注意点もあります。特に以下の点に注意しましょう。
相続放棄の期間は3ヶ月
相続放棄の申述には、被相続人の死亡を知った日から3ヶ月以内という期限が設けられています。
この期間を過ぎてしまうと、相続放棄をすることができなくなるので注意しましょう。
ただ、手続きにはいくつもの書類を揃える必要があります。予想外のトラブルが発生することを見越した上で、準備を進められると安心です。
相続放棄の取り消しはできない
一度相続放棄をすると、その決定を取り消すことはできません。
そのため相続放棄をする前に、きちんと検討を重ね、後悔のないようにしましょう。
相続放棄と遺贈放棄は別
相続放棄をしても、被相続人から遺贈を受けた財産は、放棄の対象にはなりません。遺贈を放棄する場合は、別途、遺贈放棄の手続きが必要です。
相続放棄と限定承認の違いを理解する
相続放棄と似た制度に限定承認があります。限定承認は、相続する財産の範囲内で債務を返済する制度です。
相続放棄とは異なり、プラスの財産を受け取ることができるというメリットがあります。両者の違いを理解し、自分に合った相続の選択ができるのが望ましいです。
相続放棄とは、相続人が被相続人の財産と債務の承継を拒否することです。被相続人の債務が財産よりも多い場合や、財産状況が不明な場合、共同相続人との関係が悪い場合、相続税の負担が大きい場合などに、相続放棄を検討するべきです。
相続放棄の手続きは、被相続人の死亡を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。また、相続放棄の効力が発生してから10日以内に、債権者に通知しなければなりません。
相続放棄を行う際は、熟慮期間が3ヶ月であること、相続放棄の取り消しができないこと、遺贈放棄とは別の手続きが必要なこと、限定承認との違いを理解しておくことが大切です。
相続は、被相続人の財産を引き継ぐ重要な制度ですが、時には相続放棄が最良の選択肢となる場合もあるでしょう。
相続人は、自分の置かれた状況を冷静に判断し、必要に応じて専門家に相談しながら、適切な決定を下すことが求められます。
この記事の監修者
税理士
佐野理子
相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。