相続税の延滞税・加算税って何?税率や納付が難しい時の対処法
     

相続コラム

相続税の延滞税・加算税って何?税率や納付が難しい時の対処法

2024/09/20 相続コラム

相続税の申告には期限が設けられています。この期限を守らずに遅れて申告したり、あるいは申告する税額を偽ったりした場合、延滞税や加算税といったペナルティが課されてしまいます。そこでこのコラムでは、延滞税や加算税のルールや税率、さらに厳罰な重加算税、そして相続税の支払いに困難な際に活用できる制度についてご紹介します。

相続税の延滞税とは

相続税の延滞税とは、相続税の納付が期限内に行われなかった場合に課される追加的な税金のことです。相続税は、被相続人の死亡から10ヶ月以内に申告・納付する必要があります。この期限を過ぎると、本来の税額に加えて延滞税が発生します。延滞税の税率は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.4%、以降は年8.7%となります。

延滞税を避けるためには、期限内の納付が重要です。ただし、災害などのやむを得ない事情がある場合、税務署長の承認を受けて納付期限の延長が認められることがあります。また、納税資金の準備が困難な場合は、分割納付や延納の制度を利用することも検討できます。

相続税の延滞税は、適切な税務管理の重要性を示すものです。相続人は、相続税の申告期限や納付方法について十分に理解し、必要に応じて税理士などの専門家に相談することが賢明です。適切な対応により、不要な延滞税の負担を避けることができるでしょう。

相続税の加算税とは

相続税の加算税とは、相続税の申告や納付に関して不適切な行為があった場合に、本来の税額に加えて課される追加的な税金のことです。主に過少申告加算税と無申告加算税の2種類があります。それぞれ解説していきます。

過少申告加算税

過少申告加算税とは、期限内に申告は行ったものの、申告額が実際の税額より少なかった場合に課されます。過少申告加算税の税率は以下のようになります。

税務調査の事前通知前に自主的に申告:なし

事前通知後、税務調査前に申告

税務調査後に申告

無申告加算税

無申告加算税は、期限内に申告を行わなかった場合に課されます。無申告加算税の税率は以下のようになります。

納付額50万円以下

納付額50万円超300万円以下

納付額300万円超

なお、税務調査の事前通知前に自主的に申告した場合は、税額に関わらず、一律5%となります。

相続税の重加算税とは

相続税の申告において、故意に財産を隠蔽したり、虚偽の申告を行ったりした場合に課される、最も厳しい加算税が重加算税です。通常の加算税よりも高い税率が適用され、悪質な脱税行為に対する罰則的な性格を持っています。 重加算税は、過少申告や無申告の場合に課される一般的な加算税の約2倍の税率が適用されます。具体的には、隠蔽・仮装された部分に対して35%の税率で計算されます。これは、意図的な脱税行為に対する厳しい制裁措置といえます。 また、無申告の場合は、本来納めるべき税額に対して40%の税率で計算されます。

つまりこれらの行為は、単なる過失や誤りではなく、故意に税負担を不当に減らそうとする悪質な行為として扱われます。相続税の申告に際しては、このような重い制裁を避けるためにも、誠実かつ正確な申告を心がけることが極めて重要です。

延滞税・加算税を軽減するための対策

延滞税・加算税は、相続人にとって非常に大きな損害といえます。しかしながら、状況によっては期日内に相続税の納付が難しく、延滞税や加算税が課税されてしまうケースも考えられます。そういった場合には、以下2つの対策を取ることが重要です。

手続きに苦労したら専門家に早めに相談する

相続税に関する知識の豊富な税理士に、なるべく早い段階で相談しましょう。財産の評価が難しかったり、申告の準備を進める時間が取れなかったりなど、相続人だけでは困難なこともあるはずです。このような場合、税理士に相談することで、延滞税・加算税が課される心配なく申告することが可能な場合もあります。

特例の適用は納付がなくても申告する

「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」の適用後、相続税が0円になるケースがあります。そのような場合、相続税の納付は不要ですが、相続税の申告は必要になります。つまり、これらの特例は、相続税の申告書を提出することで、有効となるのです。特例の利用後に相続税を納める必要がない場合でも、申告書は必ず提出しましょう。

現金で納付できない場合は?

相続税の納付の際、現金での納付が困難な場合は、延納や物納での納付が可能です。それぞれの制度について、詳しく解説します。

延納制度

相続税の延納制度は、相続税を分割で納付できる制度です。相続税が多額となり、一括での納付が困難な場合に役立ちます。ただし、利子税がかかるので注意も必要です。この延納制度は、以下の条件を満たす場合、利用することができます。

物納制度

相続税の物納制度は、相続税を現金で納付することが困難な場合、なお且つ延納制度を活用しても現金での納付が困難な場合に利用が認められています。なお、物納の対象となる物には、特定の要件が定められています。

物納できる財産には優先順位があり、第一順位は不動産、船舶、国債、地方債、上場株式等、第二順位は非上場株式等、第三順位は動産となっています。

相続税の申告は、相続する遺産の数や種類、また相続人の話し合いの進度次第で、時間がかかってしまうことも少なくありません。故意ではなくとも、申告期限を過ぎてしまう恐れもあるでしょう。延滞税や加算税の税率はどちらも小さくないため、ぜひこのコラムを参考に、期限を守った申告に取り組んでみてください。

この記事の監修者

税理士 佐野理子

税理士
佐野理子

相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。

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