共有名義人の1人が死亡したら相続人は誰?手続きの流れと注意点も解説
     

相続コラム

共有名義人の1人が死亡したら相続人は誰?手続きの流れと注意点も解説

2024/10/28 相続コラム

共有名義人の1人が死亡した場合、その故人の持分の不動産はどうなるかご存知でしょうか?ここでは、不動産の共有名義人の片方が死亡した場合の相続人や相続手続きの流れ、相続の際の注意点など、共有名義人の相続に関することを詳しく解説します。

不動産の共有名義人の片方が死亡したら相続人は誰になる?

不動産の共有持分は相続財産として遺産分割の対象となります。共有名義人の1名が死亡した場合、その持分は相続人全員が相続します。 ただし、以下のような注意すべき点もあります。 相続人には優先順位が以下のように決められています。こちらも確認しておきましょう。 なお、共有名義人は、他の相続人より優先して相続できるというわけではありません。故人が特段、遺言書を遺していなかった場合は、遺産分割協議によって相続人間で話し合って決める必要があります。法定相続による相続で共有名義の不動産を相続した際の相続の分割割合は、以下のように決められています。
相続人相続した共有名義の持分最終的な共有名義の持分
配偶者2分の1(全体の4分の1)4分の1
長男4分の1(全体の8分の1)8分の1
次男4分の1(全体の8分の1)8分の1
先述したように、共有名義人の死亡によって、共有名義の権利関係が複雑になってしまうリスクがあります。共有名義で不動産を所有する際や、共有名義の不動産を相続する可能性がある場合は、慎重な計画が必要だといえます。

共有名義人の片方が死亡した場合の相続の手続きの流れ

共有名義人の1名が死亡した場合、その持分は相続財産として遺産分割の対象となります。共有名義人が死亡した場合の相続手続きは、以下の流れで進めていきます。 順を追ってご説明します。

相続人を確定させる

相続手続きの第一歩は、相続人の確定です。相続人は先述した相続人の優先順位に従って決定されます。なお、第1順位から順に、上位の相続人がいる場合、下位の相続人は相続権を持ちません。 相続人の確定には、以下の書類が必要です。

相続人全員で遺産分割協議を行う

相続人の確定後、共有持分の分割方法を決めるため、相続人全員で遺産分割協議を行います。先ほど説明したように、共有名義人は、他の相続人より優先して相続できる特権があるわけではありません。しかし、遺産分割協議を通して相続人全員の合意が得られれば、故人の共有名義の持分を共有名義人が相続することも可能です。 遺産分割協議では以下のポイントを話し合うと良いでしょう。 遺産分割協議には、以下の書類が必要です。

相続登記を行う

遺産分割協議が成立したら、不動産登記簿の名義を変更する相続登記を行います。2024年の法改正により、相続開始を知った日から3年以内に相続登記申請が必要です。期限が設けられていることから、計画的に進めていけると安心です。以下の流れに沿って準備をしましょう。 ①必要書類を収集する ②登記申請書を作成する ③法務局に登記申請書および必要書類を提出する ④登記完了後に登記識別情報通知を受け取る また、相続登記には、以下の書類が必要です。 これらの手続きは、司法書士に依頼することで、確実かつ円滑に進めることができます。特に、相続人が多い場合や、遠方に居住している場合は、専門家への依頼をお勧めします。なお、相続登記を期限内に行わない場合、過料が科される可能性があります。適切な時期に必要な手続きを進めることが重要です。

共有名義の片方が死亡した場合の注意点

不動産の共有名義人の1名が死亡した場合、その持分は相続の対象となります。トラブルを未然に防ぐため、以下の点に注意が必要です。

①夫婦共有の場合は遺言書を作成しておく

配偶者の死亡により、子どもが共有持分を相続すると、権利関係が複雑になります。配偶者の持分を生存している配偶者が相続できるよう、遺言書の作成が有効です。

②兄弟姉妹に遺留分はない

兄弟姉妹には遺留分の権利がありません。遺言書で他の相続人に相続させることで、共有者の増加を防ぐことができます。

③生前に遺留分を放棄させる

子や配偶者には遺留分があります。将来の権利関係の複雑化を避けるため、生前に家庭裁判所で遺留分放棄の手続きを行うことも検討に値します。

④離婚したら共有関係を解消する

離婚後も共有関係が続くと、その後の相続で複雑な問題が発生する可能性があります。離婚時に、持分の売買や代物弁済により共有関係を解消することが望ましいです。

⑤住宅ローンが残っていたら団信の加入を確認

共有名義人の死亡により、残された共有者が住宅ローンの支払いに苦慮する事態を避けるため、団体信用生命保険への加入は必須です。未加入の場合は、速やかに加入を検討してください。 共有名義人の1人が死亡する場合、相続した不動産の共有者が増えることによって、権利関係が複雑になり、後々トラブルに発展するケースも少なくありません。このコラムで紹介した、手続きの流れや注意点を参考に、スムーズに相続できるよう準備してみてくださいね。

この記事の監修者

税理士 佐野理子

税理士
佐野理子

相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。

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