- 神戸で税理士による相続税の申告手続きHOME
- 相続コラム
- 年金受給者が亡くなったら年金はどうなる?年金の支給停止や未支給年金、遺族年金について
年金受給者が亡くなったら年金はどうなる?年金の支給停止や未支給年金、遺族年金について
2023/09/29 相続コラム
目次
年金を受給している家族が亡くなった場合、年金の受給停止の手続きを行う必要があります。また、この手続きに付随して、「未支給年金の請求」や「遺族年金の申請」の手続きなど、基本的に複数の作業が生じます。そこでこのコラムでは、年金停止の手続きに関する基礎知識や未支給年金や遺族年金など、主に故人の家族が関わる年金の代表的な手続きについてご紹介します。
年金受給者が亡くなった場合に行う年金停止の手続き
年金受給者が亡くなったら、年金の支給停止の手続きを行います。なぜなら年金受給者本人が亡くなって、市町村役場に死亡届を提出しても、年金の支給は続くからです。故人の家族はまず、年金の支給を停止するために必要な手続きを行います。それが、日本年金機構に提出する年金受給権者死亡届(報告書)です。この手続きを行わないと、「不正受給」とみなされ、罪に問われることもあるので気をつけましょう。ただし、故人がマイナンバーを登録していた場合、年金受給権者死亡届の提出は必要ありません。
提出先・提出期限
年金の支給停止をする書類は、年金事務所または年金相談センターに提出します。提出期限は、故人が厚生年金受給者の場合は死亡後10日以内、国民年金受給者の場合は14日以内です。
手続きに必要な書類
-
- 年金受給者死亡届(報告書)
日本年金機構ホームページからダウンロードします。
-
- 故人の年金証書
- 故人の死亡の事実が確認できる書類
戸籍抄本、住民票除票、死亡診断書(または死体検案書)のコピーなど、故人の死亡が確認できる書類が必要です。
年金停止の手続きを忘れてしまった場合
規定の期限内に、故人の年金停止の手続きを行わなかった場合、以下のような罰則を受ける可能性があります。
不正受給
年金受給権者死亡届を提出し、年金の受給停止の手続きを行わないと、故人の口座に年金が振り込まれ続けます。しかし、受給者が死亡し、年金の受給権利が消失していることになるため、年金の不正受給にあたります。年金の不正受給は、国民年金法で3年以下の懲役または100万円以下の罰金のみならず、不正に支給された年金の一括返還も科されます。この罰則は、厚生年金でも同様です。
詐欺罪で逮捕されるリスクも
年金受給者の死亡を届け出ず、故人の年金を意図的に不正受給していることが確認されると、刑法の詐欺罪で逮捕される危険性もあります。
未支給年金の請求する
年金の受給停止の手続きを進める中で、本来故人に支払うべき年金が支払われないままになってしまうケースも存在します。たとえば、口座の名義人の死亡の手続きが先に進み、口座が凍結されてしまうなどの場合です。このような、受給する権利があるのに受け取れていない年金を「未支給年金」と言います。また、故人の年金が支払われるのは、亡くなった月の全額分です。この未支給年金は、故人と生計を共にしていた遺族が受け取れます。その遺族は、配偶者、子ども、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他という順番で受け取ることができます。
未支給年金の請求方法
未支給年金を受け取るには、所定の手続きが必要です。年金事務所、または年金相談センターに書類を提出することで申請が可能です。
手続きに必要な書類
-
- 未支給年金・未支払給付金請求書(複写帳票)
日本年金機構ホームページからダウンロードします。
-
- 故人の年金証書
- 故人と請求者との関係が確認できる書類
戸籍謄本や法定相続情報一覧図の写しなど
-
- 故人と請求者が生計を共にしていたことを確認できる書類
故人の住民票除票と、請求者の世帯全員の住民票
- 受取を希望する金融機関の通帳
年金が支払われるスケジュール
年金は、後払いの形で支払われます。そのため、未支給年金が必ず発生します。未支給年金の申請手続きを行った遺族は、故人が亡くなった月の分、あるいは前月も含めた2カ月分が支給されます。
未支給年金に税金はかかる?
未支給年金には、相続税がかかりません。しかし一方で、未支給年金を受け取る遺族の一時所得とみなされるので注意しましょう。
国民年金・厚生年金の遺族年金
家族が亡くなり、家計が苦しい状況になった時に役立つのが「遺族年金」です。一定の条件を満たすことで、この年金をもらえるケースもあります。一度、詳細を日本年金機構の「遺族年金を請求するとき」のページで確認すると良いでしょう。なお、遺族年金には、相続税や所得税は課税されません。また、国民年金には、「寡婦年金」や「死亡一時金」などの給付制度もあります。遺族年金がもらえない場合であっても、これらの制度が活用できる可能性もあるでしょう。
今回ご紹介したように、故人の年金に関する手続きは、遺族が行う必要があるものです。その手続きは、複数存在し、かつ短い期間で進めなくてはなりません。手続きの期限に間に合う、スムーズな作業にするためにも、ぜひこのコラムを参考に家族と協力しながら取り組んでみてくださいね。
この記事の監修者
税理士
佐野理子
相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。