相続税の障害者控除を使うには?適用要件・計算式・申告方法について解説
     

相続コラム

相続税の障害者控除を使うには?適用要件・計算式・申告方法について解説

2023/12/26 相続コラム

相続人が障害者である場合、相続税額から一定の金額を差し引ける特例があります。この特例を障害者控除と呼びます。このコラムでは、相続税の障害者控除の概要や障害者控除が適用できる要件、障害者控除の申告方法などをご紹介します。

相続税の障害者控除とは

相続税の障害者控除とは、障害者が財産を相続した場合、相続税の一定額を差し引ける制度のことです。多くの場合、障害者は親族のうちの1人の扶養になっています。そのため、扶養していた家族が亡くなると、相続人である障害者本人に多額の相続税が課されることになります。このような状況をふまえ、障害者控除は、障害者の負担を軽減することを目的として設けられているのです。また、障害者控除が適用されると、基礎控除よりも高い比率で差し引かれるため、節税効果も大きくなります。

相続税の障害者控除の要件

相続税の障害者控除は、以下の要件をすべて満たしている人に適用されます。

上記の4つの要件をそれぞれ解説していきます。

85歳未満の障害者であること

相続税法では、障害者控除の対象となる障害者の要件に「一般障害者」「特別障害者」の2種類が定められています。さまざまな種類の障害が存在しますが、相続人となる障害者が「一般障害者」あるいは「特別障害者」に当てはまるかどうか確認してみましょう。

一般障害者とは

特別障害者とは

上記は、「一般障害者」と「特別障害者」の代表的な要件です。どちらにも該当しない場合は、一般障害者と特別障害者のそれぞれの範囲が詳細に記載されている国税庁のホームページを確認してみてください。

法定相続人であること

障害者控除を受けるためには、相続財産を受け継ぐ本人が法定相続人である必要があります。たとえ遺言で「Aに遺産を相続させる」という旨があったとしても、A(障害者)が法定相続人でなかった場合、障害者控除の対象外となります。

日本国内に住所があること

障害者控除を受けるには、相続で財産を取得した時に、日本国内に住所があることも要件です。なお、日本国内に住所がない人でも、以下の2つの項目に該当すると要件を満たすとみなされます。

一方で、相続開始する時に、日本国内に住所があっても、以下の項目に両方該当する場合は、障害者控除の対象外となるので気を付けましょう。

相続財産を取得すること

障害者である本人が相続人として財産を取得することで、障害者控除が適用されます。もし、控除しきれず余ってしまった障害者控除額がある場合、他の相続人の相続税額からも控除することができるというメリットもあります。この方法の詳細については後述します。

相続税の障害者控除の計算方法

実際に、障害者控除の計算方法のいくつかのパターンを紹介します。

相続人が一般障害者である場合

一般障害者は、特別障害者よりも軽度な障害に該当します。このことから、一般障害者の障害者控除の計算方法は以下の通りです。

(85歳-相続開始日の障害者の年齢)×10万円=障害者控除額

なお、相続開始日の障害者の年齢は満年齢で計算します。

相続人が特別障害者である場合

特別障害者は、一般障害者よりも重度な障害に該当します。このことから、特別障害者の障害者控除の計算方法は以下の通りです。

(85歳-相続開始日の障害者の年齢)×20万円=障害者控除額

同様に、相続開始日の障害者の年齢は満年齢で計算します。

障害者控除の控除額が相続税額より大きい場合

相続する金額によっては、相続人の相続税の金額から障害者控除額が引ききれないケースもあります。このような場合は、相続人の扶養義務者の相続税額も控除することが可能です。

相続税の障害者控除の申告方法

障害者控除の要件をすべて満たしていることが確認できたら、実際に申告の手続きを進めます。手続きには以下の書類を揃え、税務署に提出します。

障害者控除の必要書類

未成年者控除額・障害者控除額の計算書は国税庁のホームページからダウンロードできます。

過去に障害者控除の適用を受けた場合

相続税の障害者控除を受けるとき、過去に障害者控除が適用されたことがあるかどうかを確認しましょう。もし過去に相続税の障害者控除を受けたことがあると、過去の分から差し引いた金額が控除額となるので気をつけましょう。

控除した結果、相続税が0円の場合

障害者控除を適用した後、納税額が0円になった場合、相続税の申告書を提出する必要はありません。しかし、後に再度相続があった時のために、控除額や控除額の適用時の計算の記録は手元に残しておくとよいでしょう。

障害者控除は、税負担を大きく軽減できます。しかし、障害の度合いによって計算式が異なったり、障害者控除の適用が初めてではないと控除額が少なくなったりするため、注意が必要です。ぜひこのコラムを参考に、障害者控除が適用できるかどうか確認してみてください。

この記事の監修者

税理士 佐野理子

税理士
佐野理子

相続担当税理士として、お客様からのご相談をお受けさせていただいております。
これまで多くの相続税申告に携わってまいりました経験をもとに、相続人のみなさま方の立場に立ってご相談をお受けし、申告業務を進めさせていただきます。

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