相続税の配偶者控除を受けるには?適用条件・必要書類・注意点
相続税の配偶者控除(正式には、配偶者の税額の軽減、といいます)は、配偶者の遺産のうち一定の金額までは相続税がかからないという制度です。
しかし、いくつかの要件があったり、期限内に遺産分割協議を進めたりと、注意すべきことが多い制度でもあります。そこでこのコラムでは、配偶者控除の基礎知識から、適用要件、そして配偶者控除を適用する際の注意点まで、幅広くご紹介していきます。
相続税の配偶者控除とは
相続税の配偶者控除とは、配偶者の遺産のうち一定の金額までは相続税がかからないという制度です。相続税の金額は、それぞれ相続人ごとに相続した金額によって定められます。
つまり、1億6千万円または配偶者の法定相続分相当額という金額は、配偶者が相続する遺産に適用される非課税の限度額というわけです。
相続税の配偶者控除を適用するための条件
しかしながら、相続税の配偶者控除は、配偶者が遺産を相続する相続人となれば誰でも対象となるわけではありません。
減額される相続税も大きいので、いくつかの要件を満たしている必要があります。どのような要件なのか、実際に見ていきましょう。
①法律上の婚姻関係を結んでいること
「配偶者」と明記されているように、相続税の配偶者控除を受けるには、法的に婚姻関係の手続きを行っていることが必要です。
事実婚やパートナーという形ではなく、「戸籍上」の配偶者でなければなりません。
それであれば、同居や別居などの生活状況や、婚姻期間の長さについて、具体的に問われることもありません。反対に、夫婦同然の関係性を長く続けている場合でも、戸籍上の配偶者でなければ、配偶者控除の適用が受けられないということです。
②相続税の申告期限までに遺産分割が完了していること
相続の手続きには、相続人たちの都合に合わせて、いつでも手続きできるというわけではありません。というのも、相続税の申告期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内と決められているからです。
この10ヵ月の間に、故人がどのような財産をどのくらい遺しているのかを把握し、その財産をどのように相続するかを決め、遺産分割協議書をふまえて相続税の計算をし、申告・納付までを行わなければならないのです。
相続税の配偶者控除を受けるためには、この期限内に、故人の遺産分割が完結していることが条件のひとつです。
しかしながら、状況によっては、この申告期限内に遺産分割の話をまとめることができないケースもあります。そのような場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」という書類を、相続税の申告書と併せて提出しましょう。
申告期限内に分割することが間に合わなかった財産に、申告期限から3年以内の追加期限が設けられます。3年以内に残りの財産の分割を終えれば、配偶者控除の適用の対象となります。
③相続税の申告書を税務署に提出していること
相続人となった場合、相続税の申告が必ず必要というわけではありません。なぜなら、相続税の基礎控除などにより、課税対象の財産がないことも少なくないのです。
同様に、配偶者控除の適用を受け、相続税が一切かからないというケースもあるでしょう。納付する税金がない場合は、申告手続きは不要と考える人もいますが、配偶者控除の適用を受けるには、相続税の申告手続きが必要となります。
相続税の申告に必要な書類
配偶者控除の適用を受けるためには、相続税の申告書の提出が必須です。申告書には、以下の書類も忘れずに添付しましょう。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(被相続人が亡くなってから10日後以降に発行されたもの)
- 遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し
- 遺産分割協議書の写しを添付する際には、相続人全員の印鑑証明書
相続税の配偶者控除の適用で気をつけたいポイント
配偶者控除が利用できれば、相続税の大きな減額が見込めます。しかし、配偶者控除は、適用すれば必ずメリットとなるわけではないことも把握しておく必要があります。
例えば、一次相続の時に配偶者控除を最大限適用するとします。配偶者の税負担が抑えられる一方、後に遺す財産の額も増えることがわかります。そのため必然的に二次相続の相続税の額が大きくなるのです。
相続税の課税額を減らすには、一次相続の時に子どもにも相続させることが望ましいでしょう。
また、二次相続以外の注意点を以下にまとめました。
- 相続税の申告期限までに遺産分割協議をまとめる
- 配偶者控除を利用して相続税が0円になる場合でも相続税の申告をする
- 遺産を隠したら配偶者控除は受けられない
- 遺産分割協議を進めている途中で配偶者が亡くなった場合でも配偶者控除が受けられる
適用される要件や決まり事をきちんと把握していないと、逆に損をしてしまう可能性があります。これらのポイントを遺産分割の話し合いなどの際に、見直しておけると良いでしょう。
相続税の大幅な減額が期待できる配偶者控除。しかし、上記で説明したように、使い方次第で、後々多く税金を支払わなければならない可能性もあります。
このように配偶者控除は、目先の減額ではなく、より先を見通した上で、適用するかどうかを決めるのが良いと言えるでしょう。ぜひこのコラムを参考に、最適な相続のプランを考えてみてくださいね。
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住所 | 〒651-0086 兵庫県神戸市中央区磯上通八丁目3番10号 井門三宮ビル12階 [googlemap ] |
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